アトリエすっからかん!

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明和電機は来週の火曜日、香港でけっこう大きなライブ(3000人のホール!)をやります。そして6月にはフランスで過去最大規模の海外での展覧会をやります。そのための荷物の発送を昨日無事に終えました。

つまり、アトリエには現在、明和電機製品はまったくない、すっからかんの状態です。明和電機はオリジナルの製品は販売せず、それを使ってライブやコンサートを行ったり、そのアイデアをもとにオモチャを作るという「アートの2次利用」で商売をしています。つまり、僕は過去17年間に作った膨大な製品(=作品)たちを全部持っているという、かわったアーティストなんですね。

これが実はたいへんで、ほとんどが機械アートなもんだから、当然壊れる。それをメンテナンスしなければならないから、年々製品が増えるほど作業量も増える。まあ、自業自得なんですけど、ひーひーです。

で、そんな手間がかかる製品たちが、今回はぜーんぶ海外に行ってしまった。これがなんだか新鮮なんです。まるで、17年前の駆け出しのころの自分に戻ったよう。あのときは、世の中に自信を持って見せれる作品を、何一つ持っていなかった。芸術家になりたいという夢はあったけど、確信も自信もなかった。なさすぎて、その危うさにすら気付かなかった。

なんだか、そのときの甘酸っぱい気持ちを思い出してます。すっからかんのアトリエで。

もし、海外にむけて出発したすべての製品が、自己で海中に沈んだらどうなるんだろう・・・と考えたりもします。自分の過去の思い出が一気になくなる。キャリアもなくなる。これはたいへんなことだけど、それはそれでしゃーないかな?とも思える。幸い、明和電機の製品はすべて図面が残っているので、再生が可能。それが絵画とちがうとこで、そんな安心もあるからかも。

これからフランス展が終了して船で作品が戻ってくるまでの6カ月間、このまっさらなアトリエで、新しい製品たちを作り上げることを想像すると、わくわくします。臭いセリフだけど、まさに「白い画用紙」に向かう気持ちです。

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