明和電機の「マスプロ芸術」

明和電機の会社名には「電機」という字がついています。これは「電気でうごく機械」のことで、その名のとおり明和電機はいろんな「電気でうごく機械」を作っています。

ふつうの電機メーカーは、人の役にたつ「電気でうごく機械」を作っています。ところが明和電機はそうではなく、人の役にたたない「電気でうごく機械」を作っていて、「ナンセンスマシーン」と呼んでいます。いままで200種類くらい作ってきましたが、ほとんど役に立たないものばかり

さらにいうと、ふつうの電機メーカーは作った機械を人に売って、お金を得ていますが、明和電機は開発をした「ナンセンスマシーン」を売りません。ぜんぶ会社に保管しています。これは会社として考えると、ちょっと不思議です。「人の役にたたないもの」はみんな欲しがりませんし、そもそも明和電機は、作った機械を売ってないのです。これではお金が入ってきません。

どうして会社が倒産しないんでしょう? そこには秘密があります。その秘密のキーワードが

「マスプロ芸術」

です。この言葉を説明するために、まずは明和電機という会社のしくみを部分ごとにわけて見てみましょう。

 

■明和電機の「コア部」

明和電機の創作の出発点には、明和電機社長・土佐信道がいます。この土佐信道が、製品のアイデアを考えてそれを作り、かつ、会社を経営しています。これは日本にたくさんある、製造業の中小企業の社長さんとおなじです。たとえばバネ屋の社長さんは、毎日新しいバネのしくみを考えてつくり、それを売っています。彼は「エンジニア」でもあり、「経営者」でもあります。

明和電機社長の土佐信道も同じです。 しかし、土佐信道が毎日、根源的に考えているのは、バネ屋の社長さんのような製品のしくみではなく、「芸術(アート)」なのです。自分の内面にわきあがってくる「不可解」のイメージをとらえようと悶々とし、日々、「イメージスケッチ」を描いたりしています。

そして、それを捕えると、途中から「エンジニア」へと思考がバトンタッチされます。画家であれば、そこで絵筆や絵具やキャンバスを使って自分の中の「不可解」のイメージを自分の外に取り出そうとしますが、土佐信道は「機械」を作ることで「不可解」のイメージをカタチにしようとします。そこからはスケッチではなく、「図面」を描きはじめます。

土佐信道のここまでのプロセスが明和電機のすべての核となりますので、これを「コア部」と呼んでいます。

 

■明和電機の「開発部」

機械をつくるために大切なもの。それは「環境」です。材料や工具、工作機器、そして優秀な技術者がいる環境がないと、よい機械はつくれません。それが明和電機においては「アトリ工」と呼ばれている品川にある工場になります。そこには材料と工作機械がそろっていて、「工員」とよばれている技術スタッフが、日々、社長とともに「ナンセンスマシーン」の開発をおこなっています。

ここで開発されたナンセンスマシーンは、現在「魚器(NAKI)シリーズ」「ツクバシリーズ」「EDELWEISSシリース」「ボイスメカニクスシリーズ」の4つのカテゴリーがあります。

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この製品をもとにさまざまな事業を展開していくので、ひとつの「資源」ととらえることができます。これを「芸術資源」と呼んでいます。 アトリエにおける「芸術資源」の開発を行うプロセスを「開発部」と呼んでいます。

「コア部」「開発部」までが、明和電機における「芸術」を生み出すプロセスです。

 

■ふたつの「マスプロ」

明和電機は「芸術資源」そのものは売らず、それを二次展開してお金にかえています。その方法として、ふたつの「マスプロ」を行っています。ひとつが大量生産の商品をつくる「マスプロダクト」、もうひとつが人に見せて興業収入をえる「マスプロモーション」です。これが明和電機の事業収益のひみつです。

「マスプロダクト(大量生産)」では、ナンセンスマシーンを開発したノウハウを応用して「オモチャ」などの量産商品を作っています。「マスプロダクト」は明和電機だけで行えません。そこで量産を行う外部企業とコラボレーションをして商品を開発します。

「マスプロモーション」は日本語でいうと「興業」になります。大きく2つの場所があり、ひとつが美術館などで見せる「展覧会」、もうひとつがライブハウスやコンサートホールで行われる「ライブパフォーマンス」です。また最近では、ナンセンスマシーンを作るときの思考やプロセスを、実際に体験してもらう「ワークショップ」や「講演会」なども、一種の興業として人気になっています。

 

このように明和電機は、芸術を出発点して「不可解」から「ナンセンス」を生み出し、そこかナンセンスマシーンを作り、それを「マスプロダクト」「マスプロモーション」というふたつの「マスプロ」に落とし込むことで収益をあげ、次のナンセンスマシーンの開発資金を得て活動を持続させています。

 

次のページでは、さらに詳しく明和電機の「マスプロ芸術」 について解説します。

明和電機の「マスプロ芸術」” への3件のコメント

  1. 不可解なんて形に出来ないと私は、思います。一般的に。不可解は、不可解なんだから。
    その不可解、未知なるものを取り出す掘り起こす貴方は独特な鶴嘴と剣をお持ちなのですね。
    そして不可解「宝石」を見つけたとき歓喜雀躍ですね。
    人にはない独特の鶴嘴と剣が強化された年数が、限りなく美しい!それは、あの小学校三年生の時の関係ないようなことでも関係しているのだと大いに私は、感じています。
    純粋で、優しくて、ナイーブな貴方は世界の宝物だと、、、私は、思っています。

  2. ピンバック: デザインをパクられた? 世界展開の雑貨店 vs 日本のアートユニット – Viralarm

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