おひるごはんで一苦労。  <ベテューヌ二日目>

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一夜明けてきょうは土曜日。昨晩のヘビメタの爆音も11時には終わり、おかげさまで熟睡。あいかわらず静かな町を歩いて展覧会場へ向かったが・・・かー!暑い!真夏の日差しでTシャツ来てても汗ばみます。

で、会場の「Le 360」に到着。もともとだだっ広い工場を改装して作った展覧会スペース。おお、明和電機にぴったりではないか。

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明和電機の荷物も無事到着。中に入ると、同じ出品者のカナダのアーティスト、[USER]さんたちが、作品を組み立てておりました。さてさて明和電機も組み立て開始。

午前中、がっつり作業をやって、いざランチへ。腹減ったなあ、と工員さんと街を歩いたんですが・・・・開いてる店がない。なめてました、フランスの田舎の土曜日を。食堂もおやすみなのね。そういえば、この町、マクドナルドも、サブウェイも、ましてやコンビニもなかったもんな。
しまったああ!

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で、さんざん歩いてみつけたスーパーで、バーベキューの肉を買ってきて、焼いて食べました。いきなりの合宿ムード炸裂です。どうなるんでしょう、明日からの食生活。

ま、おしいかったんですけどね。

スイスからフランスへ移動  <ベテューヌ 一日目>

 

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今日はスイスからフランスへ移動。チューリッヒからパリまで飛行機で飛び、パリから電車で一時間半ゆられてベテューヌまで。フランスの北にある、この小さな街は今年文化都市指定で、年間通していろんな催しがおこなれています。明和電機が参加するのはそのひとつ、「TRANSFORMER」という展覧会。

 

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電車でベテューヌについて、タクシーでホテルまで。窓から見える風景は、のどかなフランスの田舎。道を歩いている人はほとんどいない。静かだなあ・・・

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と思っていたら、ホテルのすぐとなりの広場に、ハーレーにのった男たちが大集合。右も左も、革ジャン、ヒゲ、筋肉、サングラス。そして空中には、なぜかバンジージャンプで絶叫する大男。なんなんだ!このアメリカンな空間は!

 

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どうやら、「バイクフェスティバル」が開催されていたようで、特設ステージでは、修理屋のおっちゃんみたいな人がヘビメタバンド(けっこううまい)をやってました。爆音!やかましい!

 

はたして寝れるんかな、今夜・・・・・

 

ゲーテアヌムを見に行きました。 <5日目>

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今日は一日オフなので、チューリッヒからバーゼルまで電車で移動し、シュタイナーの「ゲーテアヌム」を見てきました。

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ひとことで言えば完璧。ひとりの人間の宗教的なビジョンが、造形に転化して、巨大な空間を作り出している。シュタイナーの芸術家としての造形能力(いわゆるデッサン力)は高くないと思うのだが、問題はそこではない。

宗教をモチーフに自分の表現をする芸術家はたくさんいる。
しかしシュタイナーのように、自分の宗教を作り上げ、それをさらに造形言語で表現した芸術家は稀である。

そこに、僕は感動してしまう。

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ゲーテアヌムの迫力は、建物だけでなく、それを囲む村が、すべてその宗教的な造形言語で覆われていることである。

現在のゲーテアヌムは放火によって新しく作られた2代目である。1代目は典型的なアールヌーボー様式で、それはそれで見事であった。しかしいったん消失することで、コンクリート作りの、堅牢で重厚な、新しい様式の建物として生まれ変わった。

芸術家ならだれしも、自分の表現をすべて捨てて、無から出発することを夢想するだろう。その試練をゲーテアヌムは建造物としてドルナッハの地に刻印している。

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ゲーテアヌムを見たあと、バーゼルまでもどり、ティンゲリー美術館に行った。戦後のマシンアートの流れの中で語られることが多いティンゲリーだが、残念ながらゲーテヌアムを見たあとだと、迫力にかける。

ホワイトキューブの空間に置かれた、アート。

この典型的なプレゼンテーションが、ゲーテアヌムの、壁のすべてを人力で削り、色を塗り、曲線を作り、そしてその中に作品を置くという「徹底的な芸術空間」にくらべると、なんとパターン化したものか。ゲーテアヌムの衝撃が収まったころに、ティンゲリーについては、考察しようと思う。

20世紀型の個人がフィーバーする芸術家のパターンと、シュタイナーのように強烈な思想・宗教を作り上げ、その後の多くの人の心をしばる芸術家のパターン。自分はどちらになりたいのだろう。あるいは、何パーセントが前者で、何パーセントが後者なのだろう。

意外かもしれないが、ゲーテアヌムに僕が近い感覚を持つ場所は、大阪の国立民族学博物館である。梅棹忠夫は、宗教家で芸術家なのかもしれない。

チワワ笛ワークショップin チューリッヒ <四日目>

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6月1日。今日はライブの二日目ですが、日中は現地のこどもたち20人と「チワワ笛ワークショップ」。

チワワ笛とは?

前回、2006年にチューリッヒで明和電機がライブをやった会場「KUNSTRAUM」で今度はワークショップです。参加したチビッ子たちは、最初に紹介したオタマトーンやノックマンに飛びつき大騒ぎ。

そのあとのワークショップも、大胆に手を動かして作ってました。ハサミやカッターを使うのでひやひやしますが、みんな使えこなせてました。日本でワークショップをやると、ときどきハサミの切断部を先端に持ってきて無理やり切る子とかいて、モノ作りの明和電機としては「おいおい、ハサミも使えんのか!」とびっくりすることがありますが、それがなかったです。

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日本と同じように100円ショップ(1ユーロショップ?)で買ってきた素材でチワワ笛を作りました。しかし顔はなぜかミニバスケットボール、そしてボディはプリングルスなので、かなりワイルドなチワワ笛ができあがりました。

最後はみんなで集まって、合唱。「チューリッヒ チワワ笛合唱団」のみなさんです。

いやあー可愛いなあ。なんでヨーロッパの子供はあんなにかわいいのに、大きくなるとみんな毛むくじゃらの大男になるんだろう。謎だ。昆虫なみの変態(メタモルフォーゼ)だ。

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さて、チワワといえば、ライブネタの「チワワの歌」。こちらはしっかり練習をしてライブにのぞみましたので、ばっちりウケました。

二日目は、さらにたくさんのお客さんがご来場で、超満員。熱い!熱気でむんむん!みなさん汗だくになりながらも、社歌のダンスを踊り、笑顔でした。物販のオタマトーンたちもあっというまに完売。よかったよかった。

「自分が好きなことを徹底的にやったら、人が笑顔になる。そのくらい好きなことに打ち込みなさい」。・・・・というニュアンスなことをダライ=ラマが言ってました。これからも、精進しようと思います!

明和電機はおいくらで呼べるの?<松 竹 梅コース>の説明

明和電機は今年の秋、新型マシンをひっさげて全国ツアーを計画しています。すでに主な都市の会場はきまりつつあるんですが、東北方面が決まりません。震災の影響もあり、ライブが可能な場所がどこなのか、わからないのです。僕としては、ぜひ明和電機のライブを見てもらいたい、という思いがあります。なので、もし、「ここはできるのでは?」とか「呼んでみようかな?」という情報をお持ちの方、ご連絡ください!

・・・・で、そこで問題なのが、「明和電機はどうやったら呼べるの?ぶっちゃけ、いくらかかるの?」というおはなしです。ちょっと生々しい話ですが、大切なことだと思うので、書きます。

まず、第1原則とて、

「タダではいくことができません」

というのがあります。明和電機の活動は、製品開発にはじまり、メンテナンス、スタッフの工賃など、コストがかかっています。もし、製品デモを「タダ」で行ってしまと、これらを維持するお金がなくなり、最終的には明和電機の活動そのものが立ち行かなくなるからです。これでは本末転倒。

コストはかならずかかるとなると、第二原則がわかります。「コスト÷人数=入場料」です。

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たとえば明和電機を呼ぶのにコストが10万円かかったとしましょう(例えばですよ!)。その製品デモに10人が見にくるとしたら、入場料は「10万円÷10人」なので、ひとり10000円、ということになります。これが100人が見にくるとしたら、ひとり1000円になります。

この第二原則にしたがうなら、「わたし一人の誕生日パーティーに、10万円出せば、社長がきてくれてハッピバースデーを演奏してくれるの?・・きゃ!」ということになりますが、残念ならがらそれはむずかしいです。なぜならば、明和電機の活動として、「製品デモをたくさんの人に見てもらいたい」というのがあるからです。

芸術家としては、たった一人のパトロンが高額で絵を買ってもらうことで、芸術活動を維持していくことはできます。それはまったく当然のことです。しかし、明和電機はそこからちょっと逸脱して、「マスプロ芸術」という、大衆にむけた芸術活動を行っています。なので、

「たった一人へむけてのイベントはなし」

になります。これが第3原則です。

ただし、「私の誕生日パーティーに、100人の人を呼ぶので、製品デモをやってほしい」となると、「ご相談にのります」の世界になります。なぜなら、それはすでに「イベント」だからです。ちょっと違いますが、地方自治体に呼ばれて子供向けのライブをやったり、海外のフェスティバルに呼ばれてライブをやるのは、このパターンとほぼ同じです。あとはそのイベントの面白さ、公共性、反社会的ではないか?などの判断になります。

コストは条件によって変わります。たとえば同じ製品デモでも、東京で行うのと北海道で行うのでは、輸送費、交通費がかわるので、当然かわってきます。

さて、そうしたことをことをふまえ、明和電機はコストにあわせた「製品デモ・パフォーマンス」を、「松・竹・梅」」と、ご用意しております。

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■梅(UME)コース

もっともコストがかからないコースです。社長ひとりがキャリーバックに機材を詰め込んで伺います。持っていく製品が少ないので、「講演会+ミニ製品デモ」というスタイルになります。これまで、大学の特別授業や企業での講演などでよくやってるコースです。

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■竹(TAKE)コース

社長にひとり工員さんがついてきます。もっていける製品がずっと増えます。また工員さんがいるので、ちょっとした製品デモもできます。ときには車に乗せて機材を運ぶこともあるので、イベント性は高くなります。「チワワ笛ワークショップ」のような工作教室も可能です。

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■松(MATSU)コース

社長と工員さん(3人から5人)+スタッフで行う、ライブパフォーマンスです。機材は少ないときは業者輸送、多いときは専用のトラックで運びます。明和電機の製品デモの醍醐味を一番楽しんでもらえるコースです。またこの物量の応用として製品展示会(=展覧会)もあります。

さて、最後に。

こうした活動はひとことでいえば「営業」です。その明和電機の営業の窓口は、現在「よしもとクリエーティブエージェンシー」が行っています。「え?明和電機って吉本なんだ!」とよく驚かれるんですが、そうなんです。

「吉本だから、ごっつい取られるんとちがうの?」と思われがちですが、そんなことはありません。明和電機の活動はすべて社長(土佐信道)の主体のもとに行っており、吉本さんはプロフェッショナルとしてそのマネージメント業務の遂行にかかわってもらっています。ご安心を!

ちょっとクリエーターとしては今回は生々しい話になりましたが、ぜひこれを参考に明和電機を呼んでみたい、または、あそこならできるんじゃないか?という情報をお持ちの東北方面の方がいらっしゃいましたら、ご連絡ください!

チューリッヒライブ2011 <三日目>

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ダダンダダンダン!(ターミネーターの曲で)
5月31日、いよいよ、チューリッヒにてライブを開演いたしました。盛り上がったなあ。

昼間に地元のラジオ局の取材をうけました。セッティング中の明和電機の映像はこちら!

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唯一の心残りは、現地の方に「絶対うけるから!」ということで教えてもらった「チワワの歌」を歌ったんですが、いまいちに御客さんがポカーンとしてたこと。敗因は僕の英語の歌詞がメタメタだったことと、僕の踊りがメタメタだったことと、その社長の姿を工員さんたちが見て大爆笑、彼らの踊りもメタメタだったから。いかん!これじゃいかん!特訓して明日のライブにのぞむぞ!

「チューリッヒの人はみんなおとなしいのに、大騒ぎして喜んでましたよ!」と現地のスタッフから。喜んでもらえるのは、ほんとうれしいですね。

チューリッヒライブ <二日目>

 

 

 

 

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チューリッヒ到着二日目は、ライブのセッティング。会場の「PLAZA」はかつて映画館だった場所をクラブに改造したそうで、なかなか雰囲気があります。かつてはダダイストたちの前衛映画上映とかあったのかな・・なんて妄想が膨らむ建物です。

 
 

 

 

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ステージの上にはドーンと極彩色でハチドリの絵が描いてありました。どういう意味なんだろう?楽器のセッティングはほぼ午前中に終わり、あとは明、音響のセッティング。海外のスタッフのみんさんとは人種はちがえど、「テクニカル」な言葉は世界共通。技術でつながる男たち!

 
 

 

 

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壁面もやっぱり蜜を吸う鳥が飛びまくっています。社長は「ご当地ネタ」の曲を必死で打ち込み。今回はスイス出身のミュージシャン、DJ BOBO の 「CHIHUAHUA(チワワ)」という今日をやることにしました。

 

ひとつネタを仕込むと、ひとつ笑いがもらえる。

 

これがうれしんですね。

チューリッヒにつきました。<一日目>

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「チューリッヒなう」とツイッターでつぶやいたら、「社長、自動車事故ですか?」と返事が返ってきましたが、ちがいます。保険じゃないです。スイスのチューリッヒです。

飛行機で12時間、無事に到着しました。空港から市内へ向かう途中、チューリッヒの市内を流れる川をふとみると、すでに水着姿のみなさんが、日光欲をワンサカやってました。・・・・5月だよね。まだ。

チューリッヒのライブは2回目ですが、前回も思いましたけど、スイスに流れる時間は、ほんとにのんびりしてます。東京も震災の影響の節電で、少し街のスピードが遅くなったと思いますが、ここにくるとまだまだ。日本人の生活スピードの感覚だと、平日でも、なんだか街が夏休みしてるような気持ちになります。

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ホテルにチェックインして、とりあえず夕食へ。途中、明日のライブ会場である「Plaza」の前を通りました。この会場、昔は映画館だったそうです。なかなか雰囲気ありますね。ちょっと映画「トロン」に出てくるゲームセンターみたいです。

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外にポスターがはってました。若かりしころのパチモク社長。デザインは現地におまかせだったんですが、なんでこの写真なんだろう?よく見ると、カタカナで「ライブ」とか「トウキョウ」とか書いてます。

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さて、8時ごろ夕食を食べる「KUNSTRAUM」という、アートセンターに到着。ここは前回、明和電機がライブをやったところです。8時といってもスイスはまだまだ明るい。日が落ちてくるのは夜の10時ぐらいから。これもバカンス感をあおりますね。

ふと見ると、近くに集まってた人たちがいきなり輪になって、UFOを呼び始めました。・・・ウソです。なにやらキリスト教徒の儀式なのだそうです。

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夕食はバーベキューでした。おいしかったです。

ちょうど映像祭をやってたんですが、みなさん、のんびり飲みながら楽しんでました。日本だと芸術鑑賞というと、おごそかに、なんだか神社に「参拝」するような気分で美術館とかに行きますが、ヨーロッパのみなさんは、だいたい飲んでますね。「祭り」の感覚のようです。飲みたいがために芸術というジャンルを作ったんじゃないか?というぐらいワイワイ飲んでますね。

時差ボケもあって、眠気と疲労感で一日目はそうそうにホテルに帰って眠りました。明日はいよいよ朝からセッティング&リハーサルです!

明日からスイスとフランスへ出張

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明日からスイスとフランスに行ってきます。スイスは2度目のライブ、そしてフランスは大型展覧会です。

明日の朝8時に成田空港に集合、ということでなんですが、いまだに展覧会の作業をやってます・・・ああ!なんでいつもこうなんだ! ほとんど夏休み最後の日に絵日記を書いてる気分。

いつもあわててスーツケースつかんで家を出るので、忘れ物が心配です。

ということで次のブログはスイスから。いってきます!
(その前に作業・・・・作業・・・・)

ウメサオタダオ展を見て

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明和電機アトリエは今週も大掃除祭り。先週は、工房スペースの機材や材料などをかたづけまくりましたが、今週は事務スペース。古い書類や、必要のなくなった電子機器なんかを、えいや!と捨てまくってます。

書類に関しては、電子化のおかげで捨てれるのがうれしい。SCANSNAPを使って、昔の書類を片っ端からパソコンに吸い上げて、シュレッダー。これがないと捨てれませんでしたね、紙類は。

震災のこともあって、今年はクラウドに情報を移すかたも多いでしょう。明和電機も、さ来年の20周年をふまえて、これまでの資料をどんどん電子化してクラウドにあげようと思っています。そのためのテクノロジーには興味深々です。

しかし一方で、僕はもともと絵描きになりたかったし、バーチャルではなく、リアルなモノ作りに一番確信を持てる体質。思考をまとめる作業は、すべてペンでスケッチを描く、ということでおこなっており、はたしてパソコンにデータを全部いれたとしても、活用できるのかな・・・という疑問もどこかにある。

うーん、悩ましい。ここは発想を変えて、パソコンのなかった時代の情報の整理についてみてみよう、ということで、先週、大阪の民族博物館(=民博)で開催されている「ウメサオタダオ展」を見にいきました。

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僕にとって民博は、明和電機を始める以前、「自分ってなんだろう、自分の表現とはなんだろう」と悩みまくっていたときに、そこを突破するヒントをくれた場所。民博がなかったら、明和電機の「魚器NAKIシリーズ」は誕生していなかったし、そもそも、明和電機も生まれてなかったかもしれない。

その民博を作り上げた中心人物が、梅棹忠夫氏。僕は民博に通い詰めていたころ、梅棹氏の書籍を一冊も読んだことがなかったが、その空間展示に込められた思想に、どっぷりと影響を受けた。

梅棹氏は、とにかく「カード式思考」。あらゆる出来事、ひらめき、資料を、「一枚のカードに、一枚のアイデア」という形でメモっていた。よく文房具屋さんでみかける「京大式カード」は、氏のやり方を文具メーカーが商品化し、一般化したものである。展示には、膨大な量のカードが展示されていた。

たとえば梅棹氏は本を書くとき、このカードをああでもない、こうでもないとならべ、最終的にホッチキスでつないで文の流れを作る。このホッチキス止めの紙が、ちょうどよろいの「こざね」に似てるので、こざねと呼んでいた。

膨大な量のカードに情報を手で書き、それを膨大な時間をかけて手で編集して、まとめる。なんと気がながいことか。いまならスマーフォンとかにちゃちゃっとメモをして、あとでパソコンのデータベースでタグをたよりにまとめりゃいいじゃないか!・・・と思ったんだけどちょっとまてよと。

その膨大な作業量という肉体的な制約が、実は逆に思考を深めるトリガーになっていないか。僕もそうだが自分が書いたメモや絵が、脳にひっかけるタグの力はすごいし、紙というメディアの空間に展開できる能力もすごい。

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とにかく僕はアイデアをまとめるときにスケッチを使うので、これまで描いてきた絵が5000枚以上ある。これらはもちろん電子化しようと思うのだけど、だからといって、タブレットPCでスケッチという気分にはなれない。それはくさい言葉だけど、やっぱり「愛」を自分が描いたリアルな絵には感じてしまうからかな。大切にしたくなる。大事なものは記憶に残る。タグのフックも強くなる。それを眺めたり、順番を入れ変えたり、する作業は、梅棹氏のカードではないけど、大変だ。でもその肉体に残った疲労感が、どこか、思考の確信へとつながっていくのは、間違いない。

電子化はどんどん進むし、それを僕は望んではいる。でもだからこそ、今はちょっと立ち止まって、「電子化すべきもの、すべきでないもの」を考えたい気分なんです。ね。