社:じゃ、次。そーですねー…
「グラフィックデザイナーとは何ですか?」
グラフィックデザイナーが最近、携帯電話のデザインをするじゃないですか。すごく疑問に思うことは、企業がモノを作るにはすごく時間がかかって、開発があって何千人という人が関わっていて、その最後の末端にグラフィックデザイナーという人が登場して、売れるための工夫をしますよね?ところがグラフィックデザイナーが売ってやってんだぞ!みたいな空気を最近すごく感じるんですよ。世の中から。
中:なるほど。
社:それが、うーーーん???みたいな。なんでしょう???
中:えーっと、、、それはちょっと、、。…
社:ハハハ!某有名な〇〇〇〇とか〇〇〇〇とか…。
中:僕は、わかんないですね、ここに関しては。
社:所謂、グラフィクデザイナーって会社と仕事しますよね?一人でグラフィックデザインやってたらそれはアーティストですもんね。クライアントが絶対いて、広告とは何かを売るために必ずするもので、そこは明確ですけど、ここ最近そう言う仕事においてのグラフィックデザイナーもわからないってことですか?
中:そういうことですね、なんというか30代じゃまだダメですね。これホントに謙虚に言ってるわけじゃなくて、毎回全然うまくいかなくて、くよくよくよくよするんですよ。今日も本のページ、最初めくれなかったですよ。僕、個人でいうと世の中でグラフィックデザイナーという人のことは、人のことなんでよくわかりませんってことにしてもらってですね…。前はコンセプチュアルなアイデアを具現化して印刷する作業が僕はすごく好きで、そこに真髄を求めてたんですけど、最近どうやら不確定なものとか言葉では表せない“IBM”ロゴの周りに付随している匂いとか、コンビニで思わず買っちゃうものとか、そういうちょっと説明できないものこそデザインの本質があるんじゃないかな?っていうのがうっすら見え初めて、そこはコンセプトとか関係なく「ドーン!」と出たら、みんなが「ドーン!」という気持ちになるっていう(笑)。
社:岡本太郎みたいな感じですか?
中:そうですかねーー、、。(笑)。
社:広告って心理学に結びついてたりとか、マーケティングとか、なんか計算をある程度しているんじゃないか?っていうことですが、中村さんが今言った「ドーン!」で「ドーン!」という発言は宗教っぽいというか?
中:そういうことではなくて、例えばサッカーの釜本監督がガンバ大阪の監督の時にフォワードの選手にシュートの仕方を教えた時に「いいか、シュートっていうのは、“ボーン!”とボールが来るだろ、そしたら“ドーン!”と打ちゃあいいんだ」って、ホラ入った。といった(笑)。あの人にとってシュートってそういうことらしいんです。説明出来ないんです。ポール・ランドなんかはコンセプト以上に手から出る間合いとか空気とか、目に見えないところもすごく大きいと僕は思うんです。見た時に人の気持ちをある独特な気持ちにさせるスイッチを押すようなもの。それとは別に商業デザインを考えると、コマーシャルだとどうしても、売るということをしっかりやっている広告の方が好きで、例えば“繊維の間に入った油汚れがヒュ〜っと取れる”みたいな映像とか。やっぱり、アレで買いますよ。
社:そうですねー、高田純次が言うよりはいいですねー。
中:面白いコントとか、気の効いた冗談をやるよりは、欲している部分を強くついた広告、アートとかデザインじゃなくて広告って特別な物かなと思います。
社:そこですごく思うのは、明和電機っていうものは、“明和電機”という知名度を上げるという広告はあるんですけど、“明和電機”という商品そのものは、得体の知れないものですよね。今まであったものではないし。その時に中村さんがCIする時の気持ちのスタンスは何だったんですか?
明和電機を“ボーン!”で“ドーン!”みたいな…
中:いやいや、えーっと、“ボーン!”“ドーン!”は僕はまだ出来てないものなんです。やりたいんです!わかんないけど、すごいぞ!っていう、何か幼稚な表現になっちゃうんですけど。例えば、“この人が好き”っていう気持ちとかは説明しにくいですよね?そういうようなものと同じで、生理的にくるものっていうのは、ひとつの目標なんだなと思いますね。明和電機の場合は、当時ソニーで同じ場所に居たので、どっちかというと自分が明和の中に居るような感じで、この流れで、今こうなっていて、このモードの次くるのは何か?というのが中からわかっていたので、よりよく見せるっていうか…。結構まじめに、次はライブだからきっちりライブのチラシだとか、ホントに普通のクライアントとデザイナーの関係に近いものがあって、やってる商品はサバオとか魚コードとかになっちゃうんですけど(笑)。表現を落とし込むときにも、明和の為にならないことはもちろんやらないし、すごく真っ当なスタンスでやってきたなぁと思いますね。
社:13年間やってきた蓄積って結構すごいと思ってます。最近、海外の人が勝手に作った明和電機の広告物があるんですけど、すごくないですか?(左写真参照)
中:コレ、やりたかったですねー。
社:コレ、ひらめいてたら絶対やってましたよ!
(会場は笑いでどよめき)
社:コレは裏もすごいんです。「アートとナンセンスの間を暴走する、怪誕爆笑ライブ」になってますからね(笑)。これは中村さんからは出てこないですよね。
中:そうですね(笑)。本の中にも偽物魚コードの写真があるんですけど、やっぱりアジアの野太さって、ある意味そこだけは見習いたいですね。どーしても、格好つけちゃったり、上品にまとめ上げちゃう自分が居て、なんかやっぱりこのくらい無責任に…(笑)。
社:これが、香港でこっちが台湾なんですけど…なんで、こう放射状に(笑)。やっぱり仏教の影響なんですかね?
(会場爆笑)
中:この放射状は、今までやってないですもんね。
社:ないですね。多分、明和電機のCIの蓄積がすごいので……アレ?中村さん、聞いてますか!?大丈夫ですかっ!!??
(中村さん、しばし気が飛んでいた様子…。会場大爆笑)
社:中村さん?今どっか行ってましたよ!どこに行ってたんですか?(笑)
中:(無言の笑顔で上を指差す中村さん)
社:上に行ってましたか…、ビックリしたーーーー!危ない危ない(笑)。
※ここで補足説明。実はこの時、中村さんがトークショーを忘れて放心状態になっていたのは、本が完成したにもかかわらず、まだ印刷の良し悪しについて、考えていたからでした。ものすごい執念です。マラソンに例えるなら、ゴールしたのに、まだ走ってるようなもの?
社:…話をもどして、みんな明和電機のデザインをやりたくなるんですかね?
中:そうですね、自分も明和が最初に“電気屋さん”というコンセプトでソニーミュージックに乗り込んできた時に、うまくいくなって思った理由は、スタッフがやりたくなるんですよね。だから、アイデアが周りからも出るし、本人達からも出るし、すごく全体がノルというか推されるんでしょうね。それにしても、この放射状の出所は知りたいですねー。
社:ほっとくと、アジアは全部コレになっちゃいますからねー。明和ブルーという重要なCIもないですからねー。サバオが明和電機になっちゃいますよ、コレ。切り抜きもめちゃめちゃだし(笑)。
中:でも、ざっくりと楽しい感じというのはすごく見習いますね。
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