歌う機械と抽象性

Cimg0452

人間のように歌う機械を作るにはどうすればよいか?

ひとつの手法は、かぎりなく人体に近いモデルを作ることである。発声で一番むずかしいのは、「口」の部分。人間は歯や舌や、唇、そして鼻の穴までも使って、複雑な言葉を発している。であるならば、それらすべてを人間に近い素材で作り、筋肉の動きを正確に再現すれば、人間のように言葉をしゃべる機械が作れるのではないか・・・・・これは素直なアプローチだ。

しかし、僕はそのアプローチではうまくいかない、と思っている。人間を機械そのまま置き換えたときに、機構の中で少しずつたまっていく違和感が、最終的には大きなものとなり、「なんだかおかしい」機械になるだろう。

これは、絵画でいえば、「具象」の世界である。いや、具象であろうとも、それを人間に見せるために「抽象」な要素を必ず使う。絵具という鉱物で人間という生物を再現するのだから。

人間でないもので人間を作る行為は、芸術家は古代からおこなってきた。彫刻という静的なものではなく、歌う、という動的なものであっても、物理現象のなかに、まるで人間のような生々しい「抽象性」を見つけることができれば、人間のように歌う機械ができる、と僕は信じている。

人間らしさとはなんなのか。

ヒューマニズムではない。それとは対局の、冷たい理性で物質の中に見つけ出した、非人間的なもの。抽象の世界の機械でないと、人間らしさは、作れないだろう。

歌う機械と抽象性” への3件のコメント

  1. 初めてコメントさせていただきます。
    >人間を機械そのまま置き換えたときに、機構の中で少しずつたまっていく違和感が、最終的には大きなものとなり、「なんだかおかしい」機械になるだろう。
    「不気味の谷」現象に近い話でしょうか。
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8D%E6%B0%97%E5%91%B3%E3%81%AE%E8%B0%B7%E7%8F%BE%E8%B1%A1
    科学と芸術って、つながっているんですね。

  2. 昨日、行ってきました~♪
    「あ、このペンを使って描いているのか…」とか、すっごい妄想してきました(笑)
    欲を言えば、もっともっと観たかったです。
    もうちょっと大きいところで、やっていただきたいな~と思いました。

  3. 人間は超複雑な動きを無意識にできますが、
    機械はひとつひとつを動かしてあげて、
    それを上手く組み合わせても、人間らしさは出せません。
    歌うには、
    唇と口腔と歯と舌と声帯と息が必要だと思っていましたが、
    鼻歌は、
    声帯と息と音が抜けて行く鼻の穴があれば歌えそうです。
    超シンプルな仕組みが、
    意外と人間に近づけるのかもしれないですね。
    隙間風が不気味な何かに聞こえるみたいな、
    あんな単純な感じ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。