白いシャツ

近くに高層ビルが二本、ぼんぼんと建ってから、ベランダに強風が吹くようになった。

洗濯物を干してたら、大好きだった大切な白いシャツがいつのまにか風で飛ばされて行方不明になっていた。

最初は気づかず、アトリエにおいてきたのかなと思った。でも冷静に考えて、そんなローテーションはない。認めなくてはならず、消沈。

と、思ってたら10日ほどたって、近くの道路脇で、発見された。汚れまくりで。

「泥まみれになって発見」と書きたいところだが、様子がちがってた。場所は高速道路の高架下の交通量の多い道。たくさんのタイヤの磨耗と排気ガスとアスファルトの削りカスがたまった場所。それらが混じると「黒」になる。

白いシャツは黒く汚れていた。

とにかくまずは見つかったことがうれしかった。ひどい汚れなので落ちるか心配だったが、入浴ついでにお風呂場でゴシゴシ洗うことにした。

せっけんを塗って、ひどくこびりついた場所から手揉み洗い。襟や袖口など、末端ほど黒い。一度洗ってすすいだら、つけていた洗面器の水は真っ黒。また洗ってすすぎを五回ほどくりかえしたら、無事にもとの白いシャツに戻り、安心した。

かたくしぼってハンガーにかけて干しなおす。湿ったシャツは五月の空気を吸って冷たかった。

よかったよかった。

おかえりなさい。

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