田宮のジオラマ「土のう」に感動

 

小さいころ近所にあった模型屋「あけずみ」には店の中央にドーンとガラスケースがあり、そこには店主が作ったであろうプラモデルや商品が陳列されていました。玄関から入り、そのガラスケースを迂回した奥には、田宮のミリタリーシリーズや、青島の軍艦シリーズなどが積み重なっている「大人の空間」がありました。

小学校低学年の時の僕は、たいがいはその手前の「子供ゾーン」で100円もしないプラモデルを買っていたんですが、小学校高学年ぐらいになると、だんだんと背伸びをはじめ、なんだかマニアックな大人ゾーンのプラモに興味がわいてきました。

そんなとき、あけずみのおやじが、兄ちゃんと僕に「おまはんら、ジオラマってしっとんのか」と言いました。ジオラマ?と首をかしげていると、「これや。」と、一冊の写真集のようなものを渡しました。

それが田宮模型のカタログで、中にはタイガー戦車などの模型の紹介とともに、人形を使って戦場のシーンを再現した、数々のジオラマが掲載されていました。

「こ、こ、これはなんだ!」と見つめていると、おやじが「プラモは作るだけが楽しみやない。こうやってそのまわりの世界も自分の想像力で作ることで、ストーリーを楽しむことができるんや」と言いました。

これには目からうろこでした。まるで自分が神の視点にたって、プラモを使ってひとつの世界を作る・・・そうか!それが大人ゾーンの醍醐味やったんやああ!と気がつきました。

そうした新しい視点であけずみの大人ゾーンを見ると、ジオラマを作るためのさまざまな人形やアイテムがありました。その中で、ぼくのまなざしを釘づけにしたのは

「土のう」

でした。それまでは「なんで土を入れる袋の、プラモがあるねん」とバカにしていましたが、戦場の情景をいっきにリアルにするアイテムであることに気がつきました。たとえば「シルバニアファミリー」のウサギたちの情景の中に「土のう」を積み上げれば、そこはいきなり戦場になります。「土のう」すごい!

そこで自分でもジオラマがやってみたくなり、少ないおこづかいでも作れそうな「乗り物+人形」が入った田宮の「1/35 ドイツ ハノマーク装甲兵員輸送車D型」と、「土のう」を買いました。そして近所の公園で砂を集め、板の上に木工ボンドを塗って固定して、絵の具で色を塗り、模型をならべ、土のうをつみあげました。「ジオラマ完成や!」と喜びたいところですが、何かが足りません。

「・・・木が足りん」と思いました。

ジオラマ作りの本には、「木の表現には、枯れた草の根っこなどを使う」という説明があったのを思い出しました。植物の根っこは細くて繊細ですが、それをひっくり返して使えば、ミニチュアの木になるらしいのです。

その日から下校時は「根っこ根っこ」と使えそうな草を探しながら帰りました。そしてある日、枯れたつつじの若木を見つけ、引っこ抜くと、ジオラマに使えそうな根っこでした。それをジオラマに立てると、みごとに情景にはまり、「よっしゃああ!」と思いました。

さて、田宮といえば、プラモデルのほかに「楽しい工作シリーズ」という、モーターやギアなど、工作に使える動力機構をパッケージ化したものがありました。あるとき兄ちゃんがこのキットを使い、簡単な「ロボットの手」を作りました。モーターとギアボックスで正転・逆転をおこない、ものをはさむだけの単純なしくみでしたが、このロボットの手に毛糸で編んだ手袋をはめると、よりナチュラルな手に見えました。

「どや!ロボットやで」と見せられて興奮しました。いままではテレビの2Dの中でしか動くロボットは見たことがありません。それが、ほのぼのとした毛糸の手袋をはめていますが、ウィーンと現実に動いているのです。

「ロボットが家に来た」

と思いました。現在はそのロボットハンドよりはるかに高性能なロボット部品がネット通販で買え、Pepperのようなロボットが本当に家にくる時代になりましたが、モノがなかった昔は、「楽しい工作」でも十分に興奮できたのです。

ちなみにその後、兄ちゃんは、大人になってから田宮さんと仲良くなり、ウェブサイトで「楽しい工作シリーズ」を使った楽器の工作を発表するようになりました。

子供のときの夢が、こんな形でつながるのだから、人生って面白いですね。

 

<社長と模型 その1 プラモほしさに100円盗む> 

<社長と模型 その2 プラモと出刃包丁>
<社長と模型 その3 マジンガーZを砂場で失くす>
<社長と模型 その4 ミクロマン 赤ん坊に襲われる>

 

・・・・・・・・・

【おしらせ】

明和電機ナンセンスマシーン1/6モデル STORESにて受注中!!
>こちら

 

■明和電機ワンフェス報告会

ワンフェス2017に初参加した明和電機。イベントに向けて開発された「ナンセンスマシーン 1/6モデル」の開発秘話や、海洋堂とのコラボレーションアイテム「パラボラくん」の展開、そしてマルセル・デュシャンの「トランクの箱」から、GM(量産型ガンダム)までつながる社長のミニチュア模型にかける思いなどを明和電機のアトリエにて、たっぷり2時間お話します。

当日は、オリジナル製品と、その1/6モデルも展示します。
土曜日の夕方、お酒を飲みながら、みなさまどうぞお楽しみください。

◎とき 3月4日(土) 17:00~19:00

◎場所 明和電機 アトリ工

(東京都品川区荏原3-7-14 アルス武蔵小山1F)

◎定員 50名

◎チケット 1000円 (1ドリンク付き)

当日の11:00からアトリ工にて発売します。

※電協組合員の方は先行でSTORESにてご購入できます。

こちらから

◎お問い合わせ mail@maywadenki.com

 

■明和電機処分市

毎度好評をいただいています「明和電機処分市」を、同時開催します。製品開発のプロトタイプから、材料の端材、買ったはいいが使わない工具など、明和電機ならではのへんなものがたっぷり。

ぜひみなさま、お越しください。

◎とき 3月4日(土) 11:00~16:00

◎場所 明和電機 アトリ工

(東京都品川区荏原3-7-14 アルス武蔵小山1F)

入場無料

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。