1979年、父親の経営していた「明和電機」が倒産しました。その衝撃は土佐家の中に重く、暗く、たちこめました。
1979年は、テレビアニメ「機動戦士ガンダム」が放送された年でもあります。渡辺岳夫のエンディングテーマの「♪アムロ~ふりむかないで~」を聴くと今でも胸が苦しくなります。
父親の会社があったのは、兵庫県の赤穂市。そこに父親だけを残し、僕と兄ちゃんと母は、当時、広島県の呉で海上自衛官として働いていた姉をたよって引っ越すことになりました。なじみのプラモデル屋さんの「あけずみ」ともさよならでした。
呉を舞台にしたアニメ「この世界の片隅に」が大ヒットしていますが、まさに主人公が住んでいた場所が、当時の引越し先でした。この映画を見ると、あのときのことを思い出し、これまた胸が苦しくなります。
さて、呉に引っ越し、一年をすぎた中学一年生のころプラモデルの世界に空前のブームがやってきました。「ガンプラ」です。明和電機の倒産とともにはじまったテレビアニメ「機動戦士ガンダム」は、子供だけではなく大人を巻き込むブームとなりました。その流れで、プラモデルの販売元であるバンダイも、それまでの子供だましのプラモデルではなく、大人も納得できる1/144というスケールモデルとしてのプラモを発売しました。これが大当たりしました。
呉の田舎にはプラモデル屋も少なく、「商店街の店に、あさって入荷するらしい」などの情報が飛び交いました。しかし店にいってみると、「ガンタンク」のようなサブキャラしかなく、なんどもがっかりしました。最初に1/144 ガンダムを手に入れたときは、大興奮しました。
ガンプラは、メインであるガンダムよりも、適役である「ザク」などのデザインが好きでした。ズゴックやドムといったロボットには、それまでのロボットアニメにはないリアリティがあり、自分でもオリジナルのモビルスーツを空想して描いたりしていました。
中2のときに描いたオリジナルモビルスーツ(はずかし!)
こうしたガンプラブームをけん引したのが、「ホビージャパン」で、そこにはガンプラのさまざまな改造例やジオラマが掲載されており、自分もやってみたい!と思いました。そして選んだモビルスーツが、ガンダムの中で、もっとも地味といわれていた量産型ガンダム、「GM」でした。
そのGMの顔を切り抜き、オリジナルで透明パーツをとりつけ、全体を塗装し、汚し塗装や、マーキングを入れて「リアル」な改造をしました。その出来栄えがあまりに嬉しくて、まくらもとにGMを置いて、眺めながら寝たことを覚えています。
しかし、僕が人生においてプラモデルに熱狂したのは、この中1の時に作ったGMが最後でした。そこからぷっつりとプラモデルを作ることも、ミニチュアの玩具で遊ぶこともしなくなりました。そのころ、友人たちはテレビゲームに熱中しはじめましたが、ゲームにはまることもありませんでした。
この時期から、「自分は将来芸術家になりたい」とういう夢を、現実的に考えるようになりました。(つづく)
<社長と模型 その1 プラモほしさに100円盗む>
<社長と模型 その2 プラモと出刃包丁>
<社長と模型 その3 マジンガーZを砂場で失くす>
<社長と模型 その4 ミクロマン 赤ん坊に襲われる>
<社長と模型 その5 田宮のジオラマ 土のうに感動>
【おしらせ】
■明和電機ナンセンスマシーン1/6モデル STORESにて受注中!!
>こちら
■明和電機ワンフェス報告会
ワンフェス2017に初参加した明和電機。イベントに向けて開発された「ナンセンスマシーン 1/6モデル」の開発秘話や、海洋堂とのコラボレーションアイテム「パラボラくん」の展開、そしてマルセル・デュシャンの「トランクの箱」から、GM(量産型ガンダム)までつながる社長のミニチュア模型にかける思いなどを明和電機のアトリエにて、たっぷり2時間お話します。
当日は、オリジナル製品と、その1/6モデルも展示します。
土曜日の夕方、お酒を飲みながら、みなさまどうぞお楽しみください。
◎とき 3月4日(土) 17:00~19:00
◎場所 明和電機 アトリ工
(東京都品川区荏原3-7-14 アルス武蔵小山1F)
◎定員 50名
◎チケット 1000円 (1ドリンク付き)
当日の11:00からアトリ工にて発売します。
※電協組合員の方は先行でSTORESにてご購入できます。
◎お問い合わせ mail@maywadenki.com
■明和電機処分市
毎度好評をいただいています「明和電機処分市」を、同時開催します。製品開発のプロトタイプから、材料の端材、買ったはいいが使わない工具など、明和電機ならではのへんなものがたっぷり。
ぜひみなさま、お越しください。
◎とき 3月4日(土) 11:00~16:00
◎場所 明和電機 アトリ工
(東京都品川区荏原3-7-14 アルス武蔵小山1F)
入場無料