生命が最初に発した「言葉」は?

人間のように声を出す、いろんな機械を作っているので、「生物が声を出す」ということにとても興味がある。神の第一声が「光あれ」だとしたら、地球上で最初に言葉を発した生物はなんだろう・・・という疑問が沸いた。

もっとも、言葉=言語だとすると、それは人類になる。そうではなくて、自分以外の生命に、コミュニケーションのために「音」を発した生命は何か?という範囲まで広げての予想だ。だから、それは「鳴き声」というものになるだろう。

ツイッターで、「地球上で生命が発した、最初の言葉は?」という質問をすると、たくさんの人が「腹が減った」と答えた。その次が、「お母さん」、「ここはどこ?」、「自分は何?」という答えだった。

たしかに人間の出発点である赤ちゃんは、「お腹が減った」ということをお母さんにアピールするために、鳴き声を発する。日本語でご飯を意味する幼児語の「まんま」と、英語のお母さんの意味の「ママ」が似た音なのは、とにかく赤ちゃんにとって、栄養をもらわないと死んでしまうので、必死でアピールした音が、原始的な発声「MAMA」だったのだろう。

しかし、「MAMA」が有効なのは、育児をする高等生物だけだ。卵からかえったり、分裂で増える生物は、自分が誕生したときには、お母さんはすでに死んでいているか、どこか別の場所に行ってしまっている。「MAMA」と叫んでもごはんはもらえない。

ということで、最初のことばは「MAMA」ではない。

「自分ってなんだろう」、「ここはどこ」も、たぶんちがう。もしかしたら、生命は、そう思ったかもしれないが、それを言葉として発するためだけに、音を出す器官を発達させるわけがない。頭の何でひひとりでつぶやいていればよい。

生命が「鳴き声を出す」というエネルギーを使うのは、もっともっと根源的なものだろう。とすれば、やはりそれは生殖活動だ。最初の生物は、海の中で生まれたので、生殖行為のために鳴くというには、液体を通してその信号を他者に伝えるということだ。それはおそらく

「いい男が、ここにいますよー」 とか
「あなたのことが、好きですよー」 とか
「やりたいんです!いますぐやりたいんです!」 とか、

とにかくオスとメスのせっぱつまったコミュニケーションのために、鳴き声という遠距距離伝達信号は最初に使われた、とするのが、常道でしょう。
現在も、カラオケの膨大な音データのほとんどが、「ラブソング」ということや、昆虫や鳥類の鳴き声が生殖に関係したものであることからも、正しいように思える。

と。ここで結論が出たようだが・・・・・僕はもうちょっとつっこんでみたい。
本当にラブソングなのだろうか?

多くの生命が「フェロモン」という、物質コミュニケーションによって、オスやメスをひきつけている。それは「鳴き声」というコミュニケーションほど即効性はないが、確実に異性をひきつけることができる。それは、鳴き声以上の効果がある。

また、生命が音を出す、ということをシンプルに考えると、それは、生命が運動をしている、とうことである。運動をしている生命は、必ず音を出す。そしてその運動がもっとも激しいときは何か?というと・・・・セックス、と答えそうになるが、実は違う。

捕食者に襲われたとき、または襲うときである。

「死ぬかもしれない」というとき、生命は一番大暴れする。大暴れとは、激しい運動のことである。そして激しいう運動は、振動を生む。

もし、僕が原始的な生命で、となりから激しい運動の振動が伝わってきたら、どう思うだろう。おそらく「あ!、危ない、近くで、誰かが、食われてる!」と、その異常な信号から感知するのではないか。そして、ただちに、その音がする方向から逃げ出すだろう。

「生命が激しい振動をしているときは、そこからできるだけ離れた方がいい。」このとてもシンプルなルールにしたがっておけば、生命は生き残る確立が高くなる。さらにその精度を上げるには、危険であることを伝える振動を、体ではなく、整理された音波として、大量の周りの生命に伝える器官を発達させ、さらにまわりの生命も、その音波を確実にキャッチする器官を発達させればいい。

これが「声」と「耳」という体の部分を作りだした。

結論、最初の生命が発した言葉は、「あぶない、近づくな、逃げろ」だったのではないか。それは、文字にすると

「ぎゃあああああああああああああああああ」

だ。
私たち人類は、生態系の頂点にたち、他の生命に捕食される心配がなくなったので、なかなかこの原始的な

「ぎゃあああああああああああああああああ」

を発する機会がなくなってしまった。宇宙からエイリアンが来て、人間たちをバクバク食べるような状況になあらないかぎり、ぎゃああ・・という音は出さないだろう。それはある意味抑圧されているのかもしれない。抑圧は、ながくほっておくと精神的によくない。ホラー映画や、ジェットコースターや、スポーツの応援は、そうした抑圧に対し、合法的な生命の危険状態をシミュレーションするイベントなのだろう。みなさん、そこでぎゃーぎゃー大声を出しています。

以上、独断と偏見でございますが、僕の予想では、生命が最初に発した言葉は、

「ぎゃああああああああああああああああ (あぶない!くるな!痛い!っ死ぬ!)」

という結論です。

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