音楽の様式は楽器から

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このところ、外からの依頼で、ナンセンス楽器を作ることが多い。本日放送だったNHKデジスタティーンズでは、高校生のみなさんとナンセンス楽器制作。そして先日はX2TOKYOで「チャリ楽器」も制作。

新しく楽器を作るときいつも思い出すのは、カリブ海が発祥の地の、スチールドラム。南国の島に流れ着いたドラム缶を、ぶった切って叩いて作った、音階の出る打楽器。その音色を聴くだけで、なんだか青い空と海の光景が浮かぶから不思議。

このスチールドラムが面白いのは、そこにドラム缶しかなかったから、カリブの人たちが創意工夫で作った、というところ。もしポリバケツが流れ着いていたら、それで楽器を作ったかもしれない。

僕らが「音楽をやろう!」と思ったら、まず既存の楽器を手に入れる。楽器店にいけば、調律がしっかりしていて演奏方法が洗練された楽器がたくさん売っている。そして楽譜やCDで、やりたい音楽の模範がすでにある。

ものごとを上達するには「真似」をするのが一番だから、ふつうはそれらをメソッドに音楽を作っていく。僕だって最初に触ったまともな楽器はブラスバンド部のティンパニーだったし、その楽譜を読んで練習した。

バンドを初めたときもドラムセットはすでにあったし、レコードや楽譜を見て一生懸命コピーした。シンセで打ち込みを始めたときもそうだ。

ただ。

いつのころからか、そうした「プリペイドされた楽器」に飽きてしまった。様式が確立した楽器からは、一定の様式しかできない。このことにつまらなくなり、稚拙でも自分の楽器を作り始めた。これが、今日まで続いて、明和電機のいろんなナンセンス楽器が生まれ続けている。

音楽の楽しみ方はいろいろあるから、苦言を言ってもしかたないが、現代社会は、あまりにも音楽を伝える楽器や再生装置や流通形態が固定化しすぎている気がする。もっといろんな音楽を楽しむ方法を模索してもいいんじゃないかな?

カリブの人たちは、音楽をやりたい!という強い思いがあった。
だけど楽器がなかった。
だから、ドラム缶をぶった切って、なんとか楽器を作った。
でもその創意工夫が、カリブ海の世界的な音楽の様式を作った。

こういうことが、モノや情報にあふれて平均化してしまった日本で、もう一度起こったら、面白いと思う。みんな、音楽をやりたい!という強い思いがあるのだから。

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チャリ楽器は現在、プロモーション映像を制作中!お楽しみに!

さて、本日は2回目のデジスタティーンズ。アキバとハンズに買いだしに行って、高校生のみなさん、熱心に明和電機のアトリエで作業!!の巻でした。みんな一日で工作機械の使い方を覚えてえらい!

再放送は明後日の土曜日の深夜、そしていよいよ発表会は来週の水曜日の18:55からです!

>>詳細はこちら!

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そしてもうひとつ告知。毎年恒例の桑沢デザイン研究所での「ナンセンスモノ作り」のワークショップ、今年のテーマは楽器です。題して「明和電機 ナンセンス軽音部」。わたくし社長、部長となって、ナンセンス軽音部のみなさんを指導。おかしな楽器を発想し、制作し、バンドを組んで発表します!素人さん、大歓迎!

お申込みはこちら!

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