1/xサイズから、1/1サイズへ

高校から大学時代中学校2年生でガンプラの「GM」を作ってから、プラモデルや玩具などで遊ぶことはぴたりと止まってしまいました。そしてこのころから「将来自分は芸術家になりたい」という小さい頃からの夢を、現実的に考えるようになっていました。

それまでは変身サイボーグ1号の「1/6」サイズや、ミクロマンの「1/18」サイズ、田宮のミリタリーの「1/35」サイズ、ガンプラの「1/144」サイスなど、いろんな「1/x」サイズで遊んできました。しかし芸術家になるためには、「1/1 サイズの自分の物語」を作り上げなければなりません。そのため、アニメや玩具の世界の「1/x サイズの他者の物語」に費やす時間が減ってしまったのです。

最初に自己表現としてのめり込んだのは、意外にも「絵画」ではなく、「音楽」でした。中学はブラスバンド、高校はバンドとコンピューターミュージックにどっぷりはまりました。海洋堂の宮脇社長は、「色気づいてくると、模型やってた子らも、バンドとか“ モテ” の方へいってしまう」と嘆いていましたが、僕はモテたいという欲求よりも、打楽器のメカニズムや、コンピューターミュージックのプログラムという「1/1 サイズの機械」に触れるエンジニアとしての楽しさにはまりました。そしてオリジナルソングを作るという「物語つくり」の面白さからも音楽活動にはまりました。

「芸術家になりたい」という夢は持ち続けていたので、その後、筑波大学の芸術コースへ進学しました。専攻したのが「総合造形」という、テクノロジーアートと現代美術が混合したコースで、そこで生まれて初めて「1/1 サイズの機械」を自分の手でつくりはじめました。それまでアニメや特撮、オモチャなど、鑑賞者としてしか体験してこなかった「マシン」を、こんどはオリジナルとして自分が作るという行為は、とてもエキサイティングな体験でした。

 

最初に作ったのは大学3年生のときの自動人形(1988年)でしたが、ここで金属加工のほかに、エポキシ樹脂とシリコン型を使いました。ホビージャパンなどでは中学校のときから見てきた技術でしたが、それを本当にやることになりました。当時はアマゾンなどの通販サイトはないので、樹脂を手に入れるには、つくばから高速バスに乗って東京まで行き、渋谷の東急ハンズで購入するしかありませんでした。学生にとっては高価な素材だったので、ちびちびと使い、古いシリコンは細切れにして再利用したりしました。

 

大学3年のとき、大学に1億円近くするCGのコンピューターが入り、それを使って空想の動物などのモデリングをしました。当時は3Dプリンターなどなかったので、それを実際に手で樹脂モデルに起こしたりしました(1989年)。ちなみにそれを見た後輩に「土佐さん、これワンフェスに出せますね」と言われたのが、初めて” ワンフェス“ という言葉を知ったできことでした。

 

 

そして卒業制作では、1/1 サイズの、音楽にあわせて踊る妊婦のロボットを作りました(1989年)。ここでも樹脂成型を多用しました。「1/1 サイズの自分の物語」を探しつづけた大学4年間でしたが、この妊婦のロボットを作ったとき、スランプになってしまいました。自分の作りたいものとは違う、「ハリボテ」に見えてしまったからです。

「造形」とは形を作ることですが、僕はその形に必然性を求めました。たとえば弓矢の弓の形は、弾性エネルギーをためこむために、あの形以外にはありえません。そうした機能性のある形を、自分の中にいるエンジニアとしての自分が求めていたのですが、それまで樹脂成型で自分が作ってきたものは、素材感も形も、自分にとって表層的だったのです。

結果的には一年間のスランプを経て、僕は「機能性のある造形」を作ることにたどりつきます。それが魚をモチーフにしたナンセンスな道具「魚器シリーズ」でした。それは、ABS樹脂とアルミという限定された素材で作られた「1/1 サイズ」の道具たちでした。

かつてミクロマンで遊んでいたとき、おもしろかったのは、機械と人間が「アタッチメント」で合体する、という点でした。それはロボットのように機械が人間のように擬人化することではなく、またサイボーグのように人間の身体が機械化することでもなく、あくまで人間と機械は対峙しており、「アタッチメント」で合体することで、ひとつの機能として働く、という点に惹かれたのです。

魚器シリーズはすべて「道具」ですが、この「アタッチメント」の方法とまったく同じです。土佐信道という人間がいて、そこに魚器という道具が「アタッチメント」され、ひとつのパフォーマンスを行う。その芸術表現にとてもしっくりきたのです。

大学院のとき、この方法のパフォーマンスをはじめたのですが、そのとき問題だったのは、「自分はどういうキャラクターとしてパフォーマンスを行うべきか?」という問題でした。たとえばミクロマンであれば、「宇宙から来た小さな巨人、ミクロマン」という明確なスタイルがあります。このおかげで、光線銃をアタッチメントしても、バイクをアタッチメントしてもおかしくありません。

しかし当時の僕はただの大学生であり、自分のキャラクターを見つけることができていませんでした。そこで最初はタキシードを着てパフォーマンスをしていたのですが、タキシードから読み取れる物語は、「マジシャン」であり、どうしてもうさんくさいパフォーマンスになってしまいました。

 

「 1/1 サイズのマシンが登場する、自分の物語はなにか?」ということを日々悩み続けたある日、ピーン!と閃いたのが父親が経営していた会社「明和電機」でした。父親の明和電機は1979年に倒産しており、それがあまりにつらい記憶だったので、自分の中で封印していました。しかし、自分がすでに大人になり、かつ、父親世代が作った物語を超えていかねばならない、と思ったとき、「あの明和電機に向き合おう」と思ったのです。

これがきっかけとなり、ミクロマンでもガンダムでもない、「明和電機」という自分の物語を手に入れました。(つづく)

 

<社長と模型 その1 プラモほしさに100円盗む>
<社長と模型 その2 プラモと出刃包丁>
<社長と模型 その3 マジンガーZを砂場で失くす>
<社長と模型 その4 ミクロマン 赤ん坊に襲われる>
社長と模型 その5 田宮のジオラマ 土のうに感動>
<社長と模型 その6 ガンダムのGM>

【おしらせ】

明和電機ナンセンスマシーン1/6モデル STORESにて受注中!!
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■明和電機ワンフェス報告会

ワンフェス2017に初参加した明和電機。イベントに向けて開発された「ナンセンスマシーン 1/6モデル」の開発秘話や、海洋堂とのコラボレーションアイテム「パラボラくん」の展開、そしてマルセル・デュシャンの「トランクの箱」から、GM(量産型ガンダム)までつながる社長のミニチュア模型にかける思いなどを明和電機のアトリエにて、たっぷり2時間お話します。

当日は、オリジナル製品と、その1/6モデルも展示します。
土曜日の夕方、お酒を飲みながら、みなさまどうぞお楽しみください。

◎とき 3月4日(土) 17:00~19:00
◎場所 明和電機 アトリ工
(東京都品川区荏原3-7-14 アルス武蔵小山1F)
◎定員 50名
◎チケット 1000円 (1ドリンク付き)
当日の11:00からアトリ工にて発売します。

※電協組合員の方は先行でSTORESにてご購入できます。

こちらから

◎お問い合わせ mail@maywadenki.com

 

■明和電機処分市

毎度好評をいただいています「明和電機処分市」を、同時開催します。製品開発のプロトタイプから、材料の端材、買ったはいいが使わない工具など、明和電機ならではのへんなものがたっぷり。

ぜひみなさま、お越しください。

◎とき 3月4日(土) 11:00~16:00
◎場所 明和電機 アトリ工
(東京都品川区荏原3-7-14 アルス武蔵小山1F)
入場無料

ガンプラのGM

1979年、父親の経営していた「明和電機」が倒産しました。その衝撃は土佐家の中に重く、暗く、たちこめました。
1979年は、テレビアニメ「機動戦士ガンダム」が放送された年でもあります。渡辺岳夫のエンディングテーマの「♪アムロ~ふりむかないで~」を聴くと今でも胸が苦しくなります。

父親の会社があったのは、兵庫県の赤穂市。そこに父親だけを残し、僕と兄ちゃんと母は、当時、広島県の呉で海上自衛官として働いていた姉をたよって引っ越すことになりました。なじみのプラモデル屋さんの「あけずみ」ともさよならでした。

呉を舞台にしたアニメ「この世界の片隅に」が大ヒットしていますが、まさに主人公が住んでいた場所が、当時の引越し先でした。この映画を見ると、あのときのことを思い出し、これまた胸が苦しくなります。

さて、呉に引っ越し、一年をすぎた中学一年生のころプラモデルの世界に空前のブームがやってきました。「ガンプラ」です。明和電機の倒産とともにはじまったテレビアニメ「機動戦士ガンダム」は、子供だけではなく大人を巻き込むブームとなりました。その流れで、プラモデルの販売元であるバンダイも、それまでの子供だましのプラモデルではなく、大人も納得できる1/144というスケールモデルとしてのプラモを発売しました。これが大当たりしました。

呉の田舎にはプラモデル屋も少なく、「商店街の店に、あさって入荷するらしい」などの情報が飛び交いました。しかし店にいってみると、「ガンタンク」のようなサブキャラしかなく、なんどもがっかりしました。最初に1/144 ガンダムを手に入れたときは、大興奮しました。

ガンプラは、メインであるガンダムよりも、適役である「ザク」などのデザインが好きでした。ズゴックやドムといったロボットには、それまでのロボットアニメにはないリアリティがあり、自分でもオリジナルのモビルスーツを空想して描いたりしていました。

 

中2のときに描いたオリジナルモビルスーツ(はずかし!)

 

こうしたガンプラブームをけん引したのが、「ホビージャパン」で、そこにはガンプラのさまざまな改造例やジオラマが掲載されており、自分もやってみたい!と思いました。そして選んだモビルスーツが、ガンダムの中で、もっとも地味といわれていた量産型ガンダム、「GM」でした。

そのGMの顔を切り抜き、オリジナルで透明パーツをとりつけ、全体を塗装し、汚し塗装や、マーキングを入れて「リアル」な改造をしました。その出来栄えがあまりに嬉しくて、まくらもとにGMを置いて、眺めながら寝たことを覚えています。

しかし、僕が人生においてプラモデルに熱狂したのは、この中1の時に作ったGMが最後でした。そこからぷっつりとプラモデルを作ることも、ミニチュアの玩具で遊ぶこともしなくなりました。そのころ、友人たちはテレビゲームに熱中しはじめましたが、ゲームにはまることもありませんでした。

この時期から、「自分は将来芸術家になりたい」とういう夢を、現実的に考えるようになりました。(つづく)

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社長と模型 その5 田宮のジオラマ 土のうに感動>

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田宮のジオラマ「土のう」に感動

 

小さいころ近所にあった模型屋「あけずみ」には店の中央にドーンとガラスケースがあり、そこには店主が作ったであろうプラモデルや商品が陳列されていました。玄関から入り、そのガラスケースを迂回した奥には、田宮のミリタリーシリーズや、青島の軍艦シリーズなどが積み重なっている「大人の空間」がありました。

小学校低学年の時の僕は、たいがいはその手前の「子供ゾーン」で100円もしないプラモデルを買っていたんですが、小学校高学年ぐらいになると、だんだんと背伸びをはじめ、なんだかマニアックな大人ゾーンのプラモに興味がわいてきました。

そんなとき、あけずみのおやじが、兄ちゃんと僕に「おまはんら、ジオラマってしっとんのか」と言いました。ジオラマ?と首をかしげていると、「これや。」と、一冊の写真集のようなものを渡しました。

それが田宮模型のカタログで、中にはタイガー戦車などの模型の紹介とともに、人形を使って戦場のシーンを再現した、数々のジオラマが掲載されていました。

「こ、こ、これはなんだ!」と見つめていると、おやじが「プラモは作るだけが楽しみやない。こうやってそのまわりの世界も自分の想像力で作ることで、ストーリーを楽しむことができるんや」と言いました。

これには目からうろこでした。まるで自分が神の視点にたって、プラモを使ってひとつの世界を作る・・・そうか!それが大人ゾーンの醍醐味やったんやああ!と気がつきました。

そうした新しい視点であけずみの大人ゾーンを見ると、ジオラマを作るためのさまざまな人形やアイテムがありました。その中で、ぼくのまなざしを釘づけにしたのは

「土のう」

でした。それまでは「なんで土を入れる袋の、プラモがあるねん」とバカにしていましたが、戦場の情景をいっきにリアルにするアイテムであることに気がつきました。たとえば「シルバニアファミリー」のウサギたちの情景の中に「土のう」を積み上げれば、そこはいきなり戦場になります。「土のう」すごい!

そこで自分でもジオラマがやってみたくなり、少ないおこづかいでも作れそうな「乗り物+人形」が入った田宮の「1/35 ドイツ ハノマーク装甲兵員輸送車D型」と、「土のう」を買いました。そして近所の公園で砂を集め、板の上に木工ボンドを塗って固定して、絵の具で色を塗り、模型をならべ、土のうをつみあげました。「ジオラマ完成や!」と喜びたいところですが、何かが足りません。

「・・・木が足りん」と思いました。

ジオラマ作りの本には、「木の表現には、枯れた草の根っこなどを使う」という説明があったのを思い出しました。植物の根っこは細くて繊細ですが、それをひっくり返して使えば、ミニチュアの木になるらしいのです。

その日から下校時は「根っこ根っこ」と使えそうな草を探しながら帰りました。そしてある日、枯れたつつじの若木を見つけ、引っこ抜くと、ジオラマに使えそうな根っこでした。それをジオラマに立てると、みごとに情景にはまり、「よっしゃああ!」と思いました。

さて、田宮といえば、プラモデルのほかに「楽しい工作シリーズ」という、モーターやギアなど、工作に使える動力機構をパッケージ化したものがありました。あるとき兄ちゃんがこのキットを使い、簡単な「ロボットの手」を作りました。モーターとギアボックスで正転・逆転をおこない、ものをはさむだけの単純なしくみでしたが、このロボットの手に毛糸で編んだ手袋をはめると、よりナチュラルな手に見えました。

「どや!ロボットやで」と見せられて興奮しました。いままではテレビの2Dの中でしか動くロボットは見たことがありません。それが、ほのぼのとした毛糸の手袋をはめていますが、ウィーンと現実に動いているのです。

「ロボットが家に来た」

と思いました。現在はそのロボットハンドよりはるかに高性能なロボット部品がネット通販で買え、Pepperのようなロボットが本当に家にくる時代になりましたが、モノがなかった昔は、「楽しい工作」でも十分に興奮できたのです。

ちなみにその後、兄ちゃんは、大人になってから田宮さんと仲良くなり、ウェブサイトで「楽しい工作シリーズ」を使った楽器の工作を発表するようになりました。

子供のときの夢が、こんな形でつながるのだから、人生って面白いですね。

 

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ミクロマン、赤ん坊に襲われる

クリスマスといえば子供はサンタクロースがオモチャを運んでくれているという「幻想」を持っています。大人になるプロセスで、それがばれてしまうのですが、僕の場合、その幻想が崩れる瞬間を模型屋さん「あけずみ」で体験しました。

ある日、あけずみにいくと、天井からぶらさがっている玩具に、見慣れないものがありました。それが「サイボーグ1号」。1972年にタカラから発売され、当時の子供たちを熱狂させた男の子向けの1/6サイズの人形玩具でした。すでにテレビCMや雑誌広告でその存在を知っていましたが、それがあけずみにやってきたのです。「ぎゃああ!」と思わずさけんでしまいました。

ところがこのサイボーグ一号、価格も高価で、おいそれと庶民が買えるものではありませんでした。当時幼稚園の年長だった僕は、兄ちゃんと「ほしいなあ・・」と指をくわえるしかありませんでした。(追記:兄ちゃんは入学祝いに買ってもらってたそうです)

そんなある日、いつものように安いプラモデルを買いにいくと、店の奥で、あけずみのおじさんと、とある夫婦が会話をしています。プラモを物色しながら聞き耳をたてると、衝撃の会話が耳の中にとびこんできました。
「こんどのクリスマスにね、うちの子に、このサイボーグ1号を、サンタクロースを装ったお父さんがプレゼントしようと思うんですよ」

・・・え?なんだって!?
「サンタクロースってファンタジーじゃなくて、お父さんなの?」でもって「サイボーグ1号を買ってもらえる家庭があるの?」。この会話から二つのショックをうけ、子供の夢を現実がうちくだいてしまいました。

当時、サイボーグ一号が買えず、指をくわえている少年が日本にはたくさんいましたが、タカラさんもその指の数には気がついていたようで、そんな彼らの心を満たす玩具を発売しました。それが1974年に発売された、サイボーグ1号をきゅっと小型にしたような1/18サイズの人形「ミクロマン」でした。価格も一体700円と、がんばれば買える値段でした。そのミクロマンもある時あけずみに置いてあり、「ぎゃあああ!」と叫び声をあげました。

テレビに頼らないオリジナルストーリーを展開し、なぜか七三わけのアダルトなヘアスタイルのこのオモチャは、価格もサイズも、子供にぴったりでした。ミクロマンの面白さは、なんといっても「アタッチメント」。小さな人形に、武器や乗り物といった「アタッチメント」を取り付けることで機能が拡張します。ジョイント部がよくできていて、好きなように組み合わせて、オリジナルのマシンを作ることもできました。

しかし、このミクロマンには悲しい思い出があります。(このブログ、悲しい話しかないな・・・)

兄ちゃんとこづかいを出しあって、そのころミクロマンを集めていました。きわめつけが「ミクロマン・タワー基地」。ミクロマンのための秘密基地ですが、「基地キチ」としては大興奮です。これがあれば、ミクロマンの世界の「ジオラマ」が作れる! 手に入れるやいなや、本来なら掛け軸とか生け花とか飾るための「床の間」をジオラマのための空間として占拠し、集めたミクロマンの世界を展示しました。これはもう「すばらしき世界を作った!」という、神の視点の喜びがあり、熱狂しました。

そんなある日、知り合いが赤ちゃんを連れて家にあそびにきました。ちょうど僕も兄ちゃんも外出していました。赤ちゃんにとって床の間にあるミクロマンのジオラマは、「すばらしき世界」でもなんでもありません。ただのオモチャです。赤ちゃんだから手加減なく、ミクロマンに噛みつき、つかんでは投げつかんでは投げ、暴れまくりました。人間にとって赤ちゃんはミクロマンですが、ミクロマンにとっては怪獣でした。

夕方になり、ただいまーと居間に入って床の間を見た兄ちゃんと僕は、青ざめました。そこにひっくりかえったタワー基地、と大切なジョイント部からぼっきりおれたマシンと、よだれまみれでぐったりと横たわるミクロマンたちがいました。

「だ、誰や!誰にやられたんやああ!」

とオレンジ色のボディの「ジョン」を助けおこして聞きいてみましたが返事しません。するとおばあちゃんがすっと現れ言いました。「おまはんらがおらんときに 赤ちゃんが来て あそんだんや」。

兄ちゃんと号泣です。「なんてことをするんやああ!なんでとめんかったんやああ!」。

相手が赤ちゃんだから、怒るに怒れず。とにかく大事なジョイント部が折れているので「アタッチメント」で遊ぶことができません。この事件があった日から、ミクロマンのコレクションに対する熱意はすっかりさめてしまいました。
しかし、このミクロマンは、もろに明和電機の製品に影響をあたえています。現在、僕はさまざまなナンセンスマシーンを作っていますが、その多くは、社長というキャラクターに、ナンセンスマシーンを「アタッチメント」することで機能が拡張します。これは人間の機械化ですが、ロボットのように機械の擬人化でもなく、サイボーグのように人間を機械化することでもなく、あくまで人間と機械が「アタッチメント」で結びつき、協力しあうことで、なにかの仕事をこなすという姿です。この機械と人間のあり方に、僕はとても共感するんですが、その元にはミクロマンの影響が大きいと思います。

 

ちなみにこれは「スーパーミクロマン」のですが、ボタンを押すとウィングが開くというギミックがあり、今見ると明和電機のパチモクにそっくりです。

小さいころの影響ってホントに大きいのだと思います。

<社長と模型 その1 プラモほしさに親の財布から100円盗む> 

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マジンガーZを砂場で失くす <社長と模型 その3>

「秘密基地」。この4文字を見るだけで、昭和世代の男子は、なぜかドタバタと心が踊り、居ても立ってもいられなくなります。この症状を「秘密基地キチガイ」、略して「基地キチ」と呼んでいます(僕は)。

僕に「基地キチ」の洗脳をほどこした出発点は、なんといっても「サンダーバード」。このイギリスの科学特撮人形ドラマが日本で放映されたのが1967年。この年に僕は生まれたのですが、再放送もなんどもあったので、それを見ました。子供なのでドラマのストーリーはよくわかりませんでしたが、科学的な考証にもとづいて作られたメカと、そのメカが格納された秘密基地からの発進シーンには心躍りました。

このサンダーバードの秘密基地は、南の島の地下にあって、プールが割れて中からロケットがとびだすのですが、直射日光がまぶしいハワイみたいなリア充な世界から、いきなりオタクなメカの世界が躍り出るギャップは衝撃で、子供たちを「基地キチ」の世界へと歩ませました。

その後、この「秘密基地」の設定はアニメにも影響をあたえ、マジンガーZも光子力研究所の地下に格納されており、出撃するときはプールが割れて飛び出しました。こどもながらに「水道代、たいへんやな」と思いました。

男の子にはどうやら、機械に囲まれるとテンションがあがる、という症状があるようです。「基地キチ」もそのひとつですが、その他に、飛行機や車の操縦席でテンションがあがる「コクピット・キチ」や、電子楽器に囲まれてうっとりする「シンセ・キチ」、パソコンや周辺機器にかこまれる「デジ・キチ」、最近では3Dプリンターやレーザーカッターにかこまれる「ファブ・キチ」など、いろんなタイプがあるようです。これはいわば「子宮にもどって包まれたい」という胎児的要求と、好きなマシンに囲まれたいという文明的欲求が合体した、人類ならではのキチ(ただし男子限定)ではないか?と思います。

さて、マジンガーZといえば、1972年、画期的なオモチャがバンダイから発売されました。それが「超合金マジンガーZ」です。それまでのプラモデルやオモチャはプラスチックなので、軽かったんですが、この超合金は「重い」という付加価値がついていました。つまり重力という地球を味方につけた商品でした。

これはもう欲しくて欲しくてたまらなかったのですが、いかんせん高価。「一生のおねがい。勉強がんばるから。みんな持ってるんだよね。」という無責任三重奏で親をくどき、なんとか買ってもらいました。

ずしりと重いその超合金を手ににぎりしめると、「基地キチ」の洗脳をうけているのでじっとしてられません。「砂場や!」と公園に直行しました。砂場の砂をかためて「光子力研究所」をつくり、砂場に穴をほって地下格納庫をつくってマジンガーZを埋め、そこからズキューンと飛び出す遊びをやりました。

しかし、ここで僕は大きな失態を犯してしまいます。「基地キチ」としては、「光子力研究所」の作り込みに熱心になってしまいました。そしてあろうことか、研究所を完成させたことに満足し、マジンガーを埋めたまま家に帰ってしまったのです。

家について、なにか忘れてるな・・・・と思い返し、「マジンガアアア!」と気づいてダッシュで日が暮れて暗くなった公園の砂場へ走りました。しかしそこには墓荒らしにあったピラミッドのような光子力研究所と、むざんにも掘り出された穴があるだけでした。おそらくどこかのクソガキが、「地面からお宝が出てきた!」と大喜びで鼻を垂らしながら持って帰ったのでしょう。

とっぷりと日がくれた砂場で、「マジンガアアア!」と砂をにぎりしめながら号泣しました。いつまでも、いつまでも・・・・

さて、それからやく35年後。

1995年に明和電機の初の楽器の展覧会「ツクバ展」が開催されることになりました。このメインビジュルを作ることになり、どうしよう?となりました。「ツクバ」とは架空の研究都市の設定だから・・と思ったとき、「秘密基地や!」とひらめきました。兄ちゃんも、ビジュアルデザイナーの中村さんも、ドンピシャ「基地キチ」世代なので、「そや!秘密基地や!」となりました。

ここからは「失われたマジンガーZ」へのリベンジです。光子力研究所をモチーフにした「明和電機 ツクバ研究所」のイメージを描き、筑波大学の学生さんの力を借りて、そのジオラマを作りました。また、明和電機の魚器シリーズである「魚立琴(なたてこと)」が、ロケットに似てるからということで格納基地も作りました。これはもう、大人の力をつかって子供時代の夢を再現する作業だったので、楽しい楽しい!

このジオラマ作りには、現在、人形コマ撮りアニメなどで活躍中の「パンタグラフ」の井上くんや、絵本で売れっ子のヨシタケシンスケくんも、当時は学生として参加していて、見事にイメージを再現してくれました。

 

2004年、バンダイが超合金シリーズの30周年を記念して、ラフォーレ原宿で「超合金EXPO2004」を開催することになり、そこで明和電機に参加のオファーがありました。すぐさま「“失われたマジンガーZ”のリベンジや!」と思い、「超合金・社長」を作ることにしました。僕が描いたイメージスケッチを、ここでもまた、井上くんとヨシタケくんが見事に超合金にしてくれました。

ウィングの開閉から、ロケットパンチ、オプションの「サバオ」まで、夢にまでみた超合金のエレメントを注ぎ込まれていました。ふたりの造形もすばらしく、また紹介映像も格納庫におさまる社長ロボのシーンから始まる「基地キチ」のツボをつきまくったものでした。

この展覧会場にはオモチャのコレクターで有名な北原 照久氏も訪れ、「超合金・社長」を見て「コレクションしたいなあ~」とおっしゃったそうです。でも「これは、あげられへん」と、かつての公園の砂場で号泣した僕は思いました。

小さい頃の不満が、どこで創造力につながるかわかりませんね。

過去記事
<社長と模型 その1 プラモほしさに親の財布から100円盗む> 
<社長と模型 その2 プラモと出刃包丁>

 

 

さて、そんな明和電機社長の、模型やミニチュアに対する熱い思いや、先日初参加した「ワンダーフェスティバル2017」の報告、そして1/6モデルの制作秘話を語るいイベントが開催されます!

 

 

ワンフェス2017に初参加した明和電機。イベントに向けて開発された「ナンセンスマシーン 1/6モデル」の開発秘話や、海洋堂とのコラボレーションアイテム「パラボラくん」の展開、そしてマルセル・デュシャンの「トランクの箱」から、GM(量産型ガンダム)までつながる社長のミニチュア模型にかける思いなどを明和電機のアトリエにて、たっぷり2時間お話します。

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◎とき 3月4日(土) 17:00~19:00

◎場所 明和電機 アトリ工

(東京都品川区荏原3-7-14 アルス武蔵小山1F)

◎定員 50名

◎チケット 1000円 (1ドリンク付き)

当日の11:00からアトリ工にて発売します。

※電協組合員の方は先行でSTORESにてご購入できます。

こちらから

◎お問い合わせ mail@maywadenki.com

 

 

毎度好評をいただいています「明和電機処分市」を、同時開催します。製品開発のプロトタイプから、材料の端材、買ったはいいが使わない工具など、明和電機ならではのへんなものがたっぷり。

ぜひみなさま、お越しください。

◎とき 3月4日(土) 11:00~16:00

◎場所 明和電機 アトリ工

(東京都品川区荏原3-7-14 アルス武蔵小山1F)

入場無料

 

 

プラモと出刃包丁 <社長と模型 その2>

 

ワンダーフェスティバル2017、いよいよ来週末!

明和電機のアトリエも、追い込み作業で社長&工員さんの笑顔が消えはじめました。まにあうんかな・・・・・まにあわせな!

さて、そんな作業の合間にブログをちまちまと更新。社長のプラモやミニチュアに対する思いをお話する、第二話です。

第一話はこちら!

僕は昭和42年生まれ。一番最初の家の記憶は、幼稚園のときに住んでいた、赤穂市にあった工場&住居の家でした。

一階が工場で、父親の「明和電機」がそこで稼働していて、東芝の下請けで真空管のガラスなんかを切ってました。グラインダーがあったので、鉄の削れて焼けた匂いがしてました。作業してるおじさんやおばちゃんたちは、普通に工具や工作機なんかも使っていたので、「へええ、道具っておもしろいなあ・・」と小さいながらも思ってました。

工場には、油でよごれた部品を洗うためのシンナーの洗浄曹がありました。おおきな箱にたっぷりシンナーがはいっていて、独特のやばい香りがしてました。思春期だったら、ヤンキーのように吸っていたかもしれません。幼稚園児でよかった。

あるとき、そこに発泡スチロールを入れると「シュワシュワ~」をあっという間に溶けていくことを発見しました。

それがおもしろくて、梱包用の大きな発泡スチロールとかを見つけると、すぐさまシンナーの洗浄槽につっこみ、ガンガン溶かして遊んでました。なんだかウルトラマンで、倒された怪獣が溶けていくみたいで、おもしろかったのです。それを見つけた工場の工員さんに「なにしょんなら~っ!!」と怒られたなあ・・・。

幼稚園のときには、すでに、家の中に父親が買ったとおもわれるプラモデルがありました。覚えているのは、ゼンマイ歩行する「ガメラ」と、二式大型飛行艇のプラモ。

ガメラは歩行の安定が悪いので、父親が足に油粘土をつめて重心を下げてました。二式大型飛行艇は、もともと父親がその飛行艇を作った新明和工業(川西航空機)では働いていたので、買ったのだと思います。飛行艇の方は、作りかけがずっと箱の中にありました。子供ながらに、銃座や透明パーツの窓なんかをみながら、「こまけー!よくできてるー!」と関心してました。

さて、そんな幼稚園のとき、第一話でご紹介した近所のプラモ屋の「あけずみ」に、入り浸ってたわけですが、自分が買えるのは50円のガキ向けプラモだけでした。

あるとき、宇宙船のプラモを買ってきて、作ろうとしたら、プラモの周りにくっついている「ランナー」がやたら丈夫で、幼稚園児の力だと、なかなか本体からねじ切れません。

「これは、なんか他の方法をかんがえな、無理やな。」

と、幼稚園のちっさい脳味噌で考えた結論が、「道具をつかおう。」でした。一階が工場なので、ニッパーからドリルまで、なんでもあったんですが、さすがにおっちゃんたちの道具なので、勝手に使うのは気が引ける。

なんかないかな・・とあたりを見回すと、目の中に飛び込んできたのが、台所にあった「出刃包丁」でした。

「これや!これをつこうたら、一発で切れるわ!」

と、その出刃包丁を幼稚園児のちっこい手でつかみ、おもむろにプラモのランナーをがしがしと力まかせに切り始めました。客観的にその風景は、

「3秒後にはぜったいに指を切る、おさなご」

という、世のお母様方が貧血でぶったおれことまちがいなしの光景だったと思います。

案の上、3秒後には「スパン!」と左手の人差し指を出刃包丁で、ざっくりと切り、鮮血が吹き出したのでした。

ぎゃああああ!という絶叫に近い泣き声に、おばあちゃんが「どうしたんなら!」と飛んできました。そこには血まみれになった幼稚園児。

「なしたまあ!(赤穂弁で ”なんということだ” )」

とおばあちゃんもたまげましたが、さすが戦中派、すぐさま洗面所から洗面器をもってきて、したたりおちる血を洗面器で受け、ぐっと関節をおさえて止血し、赤チンと絆創膏で傷口をぐるぐる巻きにしました。(いま思えば、すぐに病院に行き、縫うはずですが、そこが戦中派)

「なんで出刃包丁やねん!あぶないやろが!」

と心配半分で怒られましたが、

「だって作りたかったんやもん・・」

アホな答えしかできまんでした。とぐじゅぐじゅに泣きながら。

 

あれから45年。いまではあらゆる工具や工作機械を指を切らずに操作できるようになりました。でも心のどこかにあのときに痛みや恐怖心が残っています。結構それが大事で、この恐怖心があるから、怪我をしないのだと思います。

左指の傷を見ながら、ときどき今でもそう思います。

 

 

 

プラモほしさに親の財布から100円盗む <社長と模型 その1>

2月19日、明和電機がワンダーフェスティバルに出展します。

これを記念しまして、社長の”模型への思い”を、つづっていこうと思います。今回はその第一弾、幼少のときのプラモデルの思い出をご紹介します。

僕は小学校の6年生まで、兵庫県の赤穂市に住んでいました。城下町の小さな街でしたが、一軒、プラモデル屋さんがありました。名前が「あけずみ」。店の正面にはショーケースがあり、店長のおじさんが作ったと思われるプラモがならぶという、典型的な海洋堂インスパイヤ系の模型ショップでした。

幼稚園のときから、おこずかいをもらうと、そのプラモ屋に行き、当時は50円の小さなプラモデルをわくわくしながら買っていました。

お店には気難しい店長のおじさんの他にネコがいて、プラモの匂いと、ネコの匂いがまじった、独特の魅力的な香りが漂っていました。

おじさんはとにかく気難しい人で、長居している客がいると「買わないなら帰れ」と平気でいう人でした。しかし、プラモにかける情熱は熱く、あるとき兄ちゃんとタミヤのジオラマ談義になったときなど、小学生の僕らにタミヤの分厚いカタログをタダでくれることもありました。

さて。

小学校3年生のときのこと。一週間のおこずかいが210円と決まっていた当時、駄菓子屋でおかし屋を買って残った100円硬貨をにぎって「あけずみ」にいきました。店内を物色していると、何やらいままで見慣れないサイズのプラモの箱がありました。「なんだこりゃああ!すげえええ!」と、一発で心をわしずかみにされました。

それがこれです。

 

 

吉野正裕さんのページから引用

 

 

・・・ダサい!今見ると悶絶ダサい!

しかし、当時の僕にはこれがイカすロボットに見えたのでした。まず、プラモメーカー「青島」がオリジナルで生み出した、TVでは放映されていないキャラクターという珍しさ、かつ、合体ロボットなのに、一体が100円、つまり「頭」「胴体」「手」「足」の、4体の完全合体を全部そろえても、400円という安さに、衝撃を受けたのでした。

当時、コンバトラーVの超合金の合体ロボが、全部そろえると7000円以上していたので、これはもう、「値段のケタが、ひとつ少ないやんけ!」というほどの激安感だったのです。

100円しかもっていなかったので、おもわず、「頭のパーツ」を買って帰りました。そして、兄ちゃんに「すごかろう!これすごかろう!」と見せると、兄ちゃんも「すごい!すごい!」と興奮したのでした。

しかし。

頭のパーツだけあっても、やはり物足りません。ディアゴスティーニ・システムと同じく、どうしても全体をそろえたい欲望がガキの胸中にうずまきます。まんまと青島の商売にハマったわけですが、残念ながら、お小遣いは0円。

「・・・・・・これは・・もう・・・親の財布から100円しっけいするしかない。」

ここで小学3年生の僕は、生まれてはじめて「ねこばば」という悪の道に手を染めることを決意しました。でも、親の財布からそのまま盗んだら、すぐにバレてしまう。何かいい方法はないか・・と、小学3年生のしみったれた脳で考え出したのが、

「偶然100円を見つけた作戦」

でした。その手法は以下になります。

・・・・・

①台所の引き出しにある、親のがま口の財布から、100円をこっそり抜き出す。

②100円を本棚と床のすきまに隠す。

③兄ちゃんを呼ぶ。

④なんか自分でギャグを言って、笑い転げるて床に倒れる

⑤「あああ!床のすきまに100円があるよ!兄ちゃん!」と発見する。

⑥100円にぎって「あけずみ」へゴー

・・・・・

兄ちゃんを発見時の目撃者として巻き込むという、かなり呼息な作戦でしたが、見つけたときは兄ちゃんも「ほんまやああ!」とまじで驚いていたのでした。

さっそく「あけずみ」に走り、「胴体のパーツ」を買ってきて組み立てる。このキット、接着剤を使わない、現在のガンプラみたいなシステムだったので、組立もあっという間にできる。すると、今度は「手のパーツ」が欲しくなる。

そこで上記の①から⑥を、次は「テレビの下に100円を隠す」ことで行いました。2回だから兄ちゃんも「・・お、おお、また見つかったんか。」と首をかしげてました。

最終的には「足のパーツ」も欲しくなり、次は「机の下に100円を隠す」ことを行いました。つまり「偶然100円を見つけた作戦」を、3回繰り返しました。「あけずみ」のおじさんも、一日になんども買いにくる僕に「またきたんか」という顔をしていました。兄ちゃんも最後は「・・おまえ、ネコババしたやろう」という細い目で、僕をプラモ屋へと送り出したのでした。

親の財布から300円を盗んだことは、まず、おばあちゃんにバレました。夕飯の買い物をしにでかけたとき、財布のお金が減ってることに気がついたのです。そして家にもどると、部屋の中では、合体ロボットで楽しそうに遊ぶ僕。

「おまえか」

とおばあちゃんのまなざしがロックオンしました。すぐさま「のんちゅん(ぼくの幼少の呼び名)、ちょっとおいで」と、家の奥の、裏庭の入り口に呼び出されました。「おまはん、財布からお金とったやろ」と言われ、全身がピキーーン!と硬直しました。「偶然100円」が「必然100円」に変わった瞬間です。

「なんで盗ったんなら。ゆうてみ」

と言われ、

「・・・ほしかったんやもん」

とアホな回答しかできませんでした。結局そこから母親にも伝わり、あとでこっぴどく怒られました。

とにかく今見れば、ダサいとしか言いようがないプラモデルですが、オモチャには魔法があるようで、本当にそのときは欲しくて欲しくてしかたがなったのです。不思議ですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明和電機の「マスプロ芸術」

明和電機の会社名には「電機」という字がついています。これは「電気でうごく機械」のことで、その名のとおり明和電機はいろんな「電気でうごく機械」を作っています。

ふつうの電機メーカーは、人の役にたつ「電気でうごく機械」を作っています。ところが明和電機はそうではなく、人の役にたたない「電気でうごく機械」を作っていて、「ナンセンスマシーン」と呼んでいます。いままで200種類くらい作ってきましたが、ほとんど役に立たないものばかり

さらにいうと、ふつうの電機メーカーは作った機械を人に売って、お金を得ていますが、明和電機は開発をした「ナンセンスマシーン」を売りません。ぜんぶ会社に保管しています。これは会社として考えると、ちょっと不思議です。「人の役にたたないもの」はみんな欲しがりませんし、そもそも明和電機は、作った機械を売ってないのです。これではお金が入ってきません。

どうして会社が倒産しないんでしょう? そこには秘密があります。その秘密のキーワードが

「マスプロ芸術」

です。この言葉を説明するために、まずは明和電機という会社のしくみを部分ごとにわけて見てみましょう。

 

■明和電機の「コア部」

明和電機の創作の出発点には、明和電機社長・土佐信道がいます。この土佐信道が、製品のアイデアを考えてそれを作り、かつ、会社を経営しています。これは日本にたくさんある、製造業の中小企業の社長さんとおなじです。たとえばバネ屋の社長さんは、毎日新しいバネのしくみを考えてつくり、それを売っています。彼は「エンジニア」でもあり、「経営者」でもあります。

明和電機社長の土佐信道も同じです。 しかし、土佐信道が毎日、根源的に考えているのは、バネ屋の社長さんのような製品のしくみではなく、「芸術(アート)」なのです。自分の内面にわきあがってくる「不可解」のイメージをとらえようと悶々とし、日々、「イメージスケッチ」を描いたりしています。

そして、それを捕えると、途中から「エンジニア」へと思考がバトンタッチされます。画家であれば、そこで絵筆や絵具やキャンバスを使って自分の中の「不可解」のイメージを自分の外に取り出そうとしますが、土佐信道は「機械」を作ることで「不可解」のイメージをカタチにしようとします。そこからはスケッチではなく、「図面」を描きはじめます。

土佐信道のここまでのプロセスが明和電機のすべての核となりますので、これを「コア部」と呼んでいます。

 

■明和電機の「開発部」

機械をつくるために大切なもの。それは「環境」です。材料や工具、工作機器、そして優秀な技術者がいる環境がないと、よい機械はつくれません。それが明和電機においては「アトリ工」と呼ばれている品川にある工場になります。そこには材料と工作機械がそろっていて、「工員」とよばれている技術スタッフが、日々、社長とともに「ナンセンスマシーン」の開発をおこなっています。

ここで開発されたナンセンスマシーンは、現在「魚器(NAKI)シリーズ」「ツクバシリーズ」「EDELWEISSシリース」「ボイスメカニクスシリーズ」の4つのカテゴリーがあります。

製品の詳細はこちら

この製品をもとにさまざまな事業を展開していくので、ひとつの「資源」ととらえることができます。これを「芸術資源」と呼んでいます。 アトリエにおける「芸術資源」の開発を行うプロセスを「開発部」と呼んでいます。

「コア部」「開発部」までが、明和電機における「芸術」を生み出すプロセスです。

 

■ふたつの「マスプロ」

明和電機は「芸術資源」そのものは売らず、それを二次展開してお金にかえています。その方法として、ふたつの「マスプロ」を行っています。ひとつが大量生産の商品をつくる「マスプロダクト」、もうひとつが人に見せて興業収入をえる「マスプロモーション」です。これが明和電機の事業収益のひみつです。

「マスプロダクト(大量生産)」では、ナンセンスマシーンを開発したノウハウを応用して「オモチャ」などの量産商品を作っています。「マスプロダクト」は明和電機だけで行えません。そこで量産を行う外部企業とコラボレーションをして商品を開発します。

「マスプロモーション」は日本語でいうと「興業」になります。大きく2つの場所があり、ひとつが美術館などで見せる「展覧会」、もうひとつがライブハウスやコンサートホールで行われる「ライブパフォーマンス」です。また最近では、ナンセンスマシーンを作るときの思考やプロセスを、実際に体験してもらう「ワークショップ」や「講演会」なども、一種の興業として人気になっています。

 

このように明和電機は、芸術を出発点して「不可解」から「ナンセンス」を生み出し、そこかナンセンスマシーンを作り、それを「マスプロダクト」「マスプロモーション」というふたつの「マスプロ」に落とし込むことで収益をあげ、次のナンセンスマシーンの開発資金を得て活動を持続させています。

 

次のページでは、さらに詳しく明和電機の「マスプロ芸術」 について解説します。

ヒゲ博士ライブを10倍楽しむ方法

2016年09月08日15時56分50秒

 

ども!ヒゲ博士じゃ。

いよいよ今週末、「ヒゲ博士とナンセンス☆マシーン」の東京公演じゃの。そこでじゃ。この公演をよりたのしむためのノウハウを、わしが君たちに伝えるからの。しっかり頭にたたきこんでくれえの。いわゆる一夜漬けじゃ!

 

■ヒゲ博士とは?

そもそも、みんな「ヒゲ博士」を理解しとるかの?わっかりやすく言えば

「明和電機の社長が、あたまがおかしくなったのが、ヒゲ博士」

じゃ。図式でかけば、

ヒゲ博士≒明和電機社長

じゃ。美術史的にいえば、これじゃな。

モナリザとひげ

 

いわずもがな、右がヒゲ博士じゃ。

このヒゲ博士の使命のひとつにな、「明和電機のナンセンスマシーンの面白さを、子供にみせつける」というのがある。とにかく、最近のこどもは、スマホとゲームのせいで脳みそが「2D」化して「チョイス」の能力ばかり伸びとるから、そうではなく、「3D」と「メイク」もあるぞ!、ということを伝えたいんじゃ。

ではな、ここであらためてライブの登場人物を紹介しよう

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 ・ヒゲ博士

わしじゃ。日々いろんな発明をしておる。頭の上のランプは、ナイスなアイデアが浮かんだときに光るんじゃ。このランプは脳みそのつながっておっての、あまりにヒラメきすぎて暴走するワシの脳のエネルギーを、外に出すしくみでもあるんじゃ。いわゆるクーラーにおける室外機みたいなもんじゃ。

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 ボール星人

ヒゲ博士の助手じゃ。ボール星人Aと、ボール星人Bのふたりおるんじゃ。彼らが地球にきたとき、空気があわんかったので、わしが台所で使うボールで作ったヘルメットをかぶせたんじゃ。そしてヒゲからエネルギーを供給しておる。つなみにこのひげは「HIGE」と書くが、これは

「Hyper International Global Energy」

の頭文字をとったものじゃ。わかりやすくいえば「すごいエネルギー」じゃ。英語的にあっとるかは不安じゃ。

ヒゲ博士の舞台に出てくるのは以上の3人じゃ。これ以上出ると、コストがかかるんじゃ。

 

・自動演奏楽器

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ライブの演奏はぜんぶ明和電機の自動演奏楽器じゃ。自動ベース「フジベース」、自動ドラム「音源Ⅲ」、自動ピアニカ「ピアメカ」、自動木琴「マリンカ」。あとはパンチ君とレンダちゃんというダンサーロボットもおるぞ。これらも重要な登場キャラクターじゃな。

 

・ナンセンスマシーン

タイトルに「ナンセンスマシーン」と入ってるように、ステージにはいろんなナンセンスな機械が登場するぞ。「バウガン」「トリウォーカー」「ボーンバー」「トマタン」「クウキポーン」「メカピーコック」・・などなど。名前を見ただけじゃ、なんだかわからんじゃろ? わしもそう思う。会場で確認してくれ。

今回登場する新製品のひとつに「プチプチヘッド」というのがある。梱包材をつぶして「ぶつぶつ言う人」を作ってみたかったんじゃが・・・いまだにわしもこれがなんなのか、ようわからん。あつかいに困っとるんじゃ。まあ、本番までには、どうにかするがの・・。

■ヒラメキ袋

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ヒゲ博士の会場にいくとな、受付で「ヒラメキ袋」が、もれなく全員にもらえる。無料じゃ。これはな、博士と明和電機の工員が、泣きながら袋詰めしたもんじゃ。500袋ぐらいあったのう。たいへんじゃった・・・。

このなかには、いろんなアイデアのもとがはいっておる。

・プッチンスカット(川上産業(株)さんからご提供じゃ)

・犬みたいな音が出る笛

・ピロピロ笛

・トマタンの旗

 

ライブの中で、博士がこのアイデアのもとから作った、いろんな発明を紹介する。そして、それを使って、博士が歌ったり、踊ったりするんじゃ。そのときに、このアイテムを使って、いっしょにもりあがるじゃ。笛とか入ってるから、音を出したり、声を出したりしてええぞ。これを

「キンプリ式」

というんじゃ。意味がわかんひとは、ぐぐってくれ。

注意点はな、博士がしゃべってるときには、話を聞いてくれ。そうしないと会場が「カオス」になるからの。

■公式応援グッズ

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「ヒラメキ袋」のほかに、会場で音を出していい、明和電機のオモチャがある。ワークショップで作ったものや、CUBEさんが発売しているものじゃ。これらは、会場で音を出してもいいぞ。歌をうたってるときとかに、いっしょに演奏してくれ。

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ヒゲ博士の会場では、バウガンとかも売ってるから、ひとより目立ちたい方は買って組み立てて、ライブで吹いてくれ。 (注: 組み立てに、3時間かかります)

■歌とダンス

とにかくな、このライブは「メカニカル・ミュージカル」というぐらいでな、博士がナンセンスマシーンとともに、歌ったり踊ったりするんじゃ。

 

 

こんな感じじゃ。一緒に踊ったり歌ったりしたいひとは、YOUTUBEで「ヒゲ博士」で検索したら、いっぱい動画があるから、予習しといてくれ。(公演は撮影・録音OKなのじゃ!)

最後に歌う、「ヒゲ博士とオモチャ箱」は、名曲じゃ。これだけでも覚えていくと、本番で楽しめるぞ。歌詞を書いておこう。

 

世界はいつも 君のプランを待ってる

未来を作ろう ヒゲ博士とオモチャ箱

 

まっ白い画用紙に ペンでらくがきしよう

あーだこーだなやまずに まずはパッと書いてみよう

なんか見えたらワンツースリー パーツさがしにいこう

トンカチもってトンテンカン 切ったはったしてみよう

 

そうさときどきつまづいて 泣くこともある

だけど ピンチはチャンスへの 出口だよ

 

世界はいつも 君のプランをまってる

未来を作ろう ヒゲ博士とオモチャ箱

 

 

・・・ええ歌じゃのう。

9月10日の公演の時には、この歌もはいってるCD「ヒゲ博士とオモチャ箱」が初売りされるからの。すでにApple Musicとかでは配信がはじまっとるが、「社長のサインが入ったCDが欲しい!」という方は、現場で購入してくれ。サイン書くからの。

明和電機STORESでも売ってます! > こちら!

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このCDは、マリモレコーズさんのスタジオで、楽器の一発録音をしたんじゃ。ふつう、レコーディングは、ドラムやギターなどパートごとに録音していくが、明和電機の楽器は「自動演奏」なのでなんども同じ演奏を正確にできるし、全体がいっきになるときのライブ感を記録したいから、一発録音をしたんじゃ。

しかもハイレゾに対応した解像度で撮ったから、バネのびょーんをという音まで撮れてるぞ。

ヒゲ博士の歌うバージョンもいいが、明和電機の楽器が好きな人は、ぜひインストバージョンも聞いてみてくれ。目の前で楽器が鳴ってるきがするぞい。

■ジョイフル明和

CruQjnPVUAA4Jvkヒゲ博士の公演の会場から歩いて3分のところに、明和電機のアトリエがある。そこで同時開催で「ジョイフル明和」が行われておるから、見に行ってくれ。

これは明和電機のファンのみなさんの二次創作や工作を発表している展示会じゃ。明和電機がマニアックだから、ファンのみなさんもマニアック。「よく作ったなあ・・・」という逸品が大集合しとるから見てみてね。

 

というわけで、9月10日の「ヒゲ博士とナンセンスマシーン」を10倍楽しむ方法の解説じゃった。みんな下準備をして来場してくれ。

まってるぞーい!

 

「ヒゲ博士とナンセンス☆マシーン」

<東京公演>

■開催日時:2016年9月10日(土)

第一公演・・・開場13:30 開演14:00

第二公演・・・開場16:30 開演17:00

■場所:スクエア荏原 ひらつかホール

(東京都品川区荏原4-5-28)

<熊本公演>

■イベント名:「ヒゲ博士とナンセンス★マシーン」

■開催日時:2016年9月24日(土)

第一公演・・・開場13:30 開演14:00

第二公演・・・開場16:30 開演17:00

■場所:熊本市男女共同参画センター「はあもにい」 多目的ホール

(〒860-0862 熊本市中央区黒髪3丁目3番10号)

FBページ・・・https://www.facebook.com/higehakase2016.kumamoto/

★各回公演終了後にはサイン会を開催!

■チケット情報

明和電機STORES ・・・https://maywadenki.stores.jp/  ※社長のサインつきオリジナルチケットを販売!詳しくはこちらから
イベンティファイ ・・・https://www.funity.jp/hige/

e+(イープラス)      ・・・http://eplus.jp/

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重版出来!で失態

TBSドラマ「重版出来!」に出演しました。ライバル漫画雑誌エンペラーの副編集長の役です。

これまで、映画には「ちょい役」でなんどか出演したことがありました。「腑抜けども、悲しみの愛をみせろ」をのぞくと、どれも10秒ほどの出演で、あきらかにエンドロールの「明和電機」で、笑いをとるため、というポジションでした。自分でも「10秒俳優」と呼んでました。

今回ドラマの話をいただいたとき、まじですか?ドラマなんてやったことないですよ?と思いましたが「また笑いをとるためのチョイ役だろう」と思い、「いいですよ~」とかるーく引き受けました。

一話分の台本をいただき、衣装合わせをしたところ、演じる「見坊我無(けんぼうがむ)」という役がかなり胡散臭いキャラであることが判明。前々から悪役をやってみたいなー、インテリやくざとかいいなー、と思ってたので、「おいしいチョイ役やな。今回は15秒ぐらいか?」とほくそえみました。

ドラマのスタッフのみなさんも、縦縞ストライプスーツの胡散臭い僕を見て「よいですね~」と笑ってました。よし、ドラマでも、一発笑わせて退散や!と思いましたが、帰り際にスタッフの方が「ドラマの後半、オダギリジョーさんのライバルとしてどんどん重要な役になりますからねー」と真剣な顔でボソリ。

・・・・え? チョイ役じゃないの?

まじかああああああ!!!

まてまてまて、ドラマやったことないし、電気屋だし、トンカツ弁当の福神漬けのつもりが、トンカツやん!

とにかく、まわりのみなさんの足手まといにならぬよう、セリフを覚え、「こ、こんな感じかな?」と真夜中の明和電機の工場で、鏡を見ながら役を考え、一応、自分なりのイメージは固めてみました。

しかし、そんな付け焼き刃が、現場で通用するわけがありません。

ここで、ドラマの撮影の進行をご説明すると、まず、役者さんは本番までに、完璧にそのシーンの動きや表情を作ってきます。練習はなし。で、いきなり「ドライ」とよばれる、撮影無しのシーンを演技。それを見て、演出監督、カメラマンさんが、もっとも効果的な構図や流れを検討します。

そして次にカメラリハーサルで、問題がないかチェック。この流れの中で、演出監督さんが、役者さんに演技のアドバイスをします。

そのあと、いよいよ本番の撮影。早いときは、ここまでの流れのが、1シーン30分ぐらいで進みます。映画の現場しかみたことがない僕には、なんというスピード感!やはり毎週放送されるドラマは、この現場でスピーディーに判断し、結果を作っていくのが大切なんだと、感心いたしました。

で、オダギリジョーさんといきなり対面するシーンの撮影があったわけです。

現場に入って、メイクをして、いきなり「ドライ」でオダギリジョーさんの前にたたされるわけですよ。これは恐怖です。

例えるならば、映画「グラディエーター」で、古代ローマの闘技場にほうりこまれたやせっぽちの平民が、重い扉が開かれ、だだっ広い戦いの場に転びながらつき出され、ふと顔をあげたら目の前にどでかいライオンがいた・・・ぐらいのびびり具合です。(注:グラディエーターにはそんなシーンありません)

もうね、頭は真っ白です。だって30cm前にオダギリジョーさんのどえらいカッコいい顔があるんですよ。「ボトラッテ!」言われたら失禁ですよ。

しかし、容赦なく監督さんが「ドライいきます。よーーい。スタあああト!」。次の瞬間、僕の口からは

 

「あうあうあうあうあうあうあ」

 

という音しか出てませんでした。アシカみたいに。

スタッフのみなさんも、オダギリジョーさんも、顔面に「ま じ で す か」という表情が現れ、それがさらに僕の緊張感をあおり、ますます「あうあうあう」とアシカ化していきました。

そんな僕の退化を止めるべく、監督さんが「・・・先日はどうも」と、僕のセリフをぼそり。それを聞いてまわりのスタッフもはっとして「・・・先日はどうも」。さらにそれに合わせて僕が「先日はどうも」。次に監督さんが「お買い求め、ありがとうございます」。それに合わせてスタッフさん。そして僕。こんな調子で、現場のみなさんのシュプレヒコールにあわせて、すべてのセリフを言ったのでした。

オダギリジョーさんもウィンブルドンで素人とペア組まされたテニスプレーヤーみたいな不安の表情をされてるし・・・・・みじめで泣きたくなりました。

「あかん!これは迷惑かけとる!」と思い、なんとかカメラリハ前の20分ほどの休憩で、自分の動きとセリフを整理、カメラリハの合間になんとか建て直しました。

普段、明和電機のステージで、世界各地でライブをやって来ましたが、緊張感をしたことなどほとんどありません。それは、その舞台にある機械も演出もすべて自分が作ったものだし、もしトラブルがあってン「アドリブ」で演出に変えることができるからです。

しかしドラマの現場では、「トラブル」も「アドリブ」もNGです。このことが僕にとって経験したことのない緊張感にさせます。

しかしその一方で、演技で動きを決めていく感覚が、ちょうどロボットにシーケンサーでプログラムしていくことや、音楽の打ち込みにも似ていて面白かったです。

とにかく現場の皆様に助けていただいてのドラマ出演でした。なんといっても贅沢だったのが、黒木華さん、オダギリジョーさん、滝藤賢一さん、最上もがさんらの生の演技が目の前にあり「本物のドラマがかぶりつきで見れてる!3Dより飛び出してる!」ということでした。

滝藤賢一さんとは、撮影の合間にゆかいな話もしていただき、撮影が現場でこころの柔軟体操もできて、たいへん助かりました。ありがとうございます!

重版出来!は、自分が出演したことを抜きにしても、クリエーターとして、マネージメントとはなにか、作品制作とはなにかを考えさせられるドラマで引きこまれます。毎回、テレビの前で正座して見てます。

いよいよ来週は最終回。みなさまも、ぜひごらんください!

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さて、6月10日から大阪グランフロントにて「明和電機ナンセンスマシーン展」が開催されます。(本業はこちら)。ことしの2月、上海の美術館McaMで開催された、明和電機としての過去最大級の展覧会の凱旋展になります。皆様、どうぞご来場ください!

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■展覧会名 : 「明和電機 ナンセンスマシーン展 in 大阪」

■会期:2016年6月10日(金)~6月26日(日)

11:00~19:00

※金曜日、土曜日は20:30まで開館。

※入館は閉館の30分前まで。

■会場:グランフロント大阪 ナレッジキャピタル EVENT Lab.

〒530-0011 大阪府大阪市北区大深町3-1グランフロント大阪北館 B1F
■チケット
前売り・・・一般・大学生1000円、中高生600円、小学生・・・300円