芸術家には二種類いる。
自分の表現に疑問を持たない者と、
自分の表現に疑問を持つ者、
である。
前者はピカソタイプ。
後者はデュシャンタイプ。
である。
疑問を持つタイプは、ときに自分の表現のメカニズムについて考える。
マシンエイジ以前は、そういうタイプがいたとしても、それを言語化、図式化するための数学、映像ツール、設計方が発達していなかったので、
圧倒的に絵画を描くのがうまい、という、一種のフリークス的才野に、飲み込まれてしまった。
しかしマシンエイジ以後の写真からCGにつながる、人間の表現の盗賊的テクノロジーは、見事にフリークスたちのお株を奪い、機械で表現できない表現、という、泥臭い世界に芸術家を追いやった。
この状況、表現に疑問をもつタイプの芸術家には好都合。
なんとなれば、キュビズムのように、まったく絵なんて描けない絵描きに、ウンチクという絵の具を与えたし、
ときには疑問を検証する、実験機器を与えたからである。
そんな時代になって、もう長い。
表現者はいまだに新しいテクノロジーが、自分をどこへ追放するのかビクビクし、
あわよくば、大逆転のための起爆剤にしてやろうと、たくらんでいる。
そんなことをいっさい考えない、まだバルビゾンをやってるクラシックな芸術家もいるが、つまんないので無視。
作戦を立てすぎると、明和電機のようにおかしなポイントまで来てしまうが、これは性分。
結論。
芸術家が自身の表現を厳密に考えるほど、テクノロジーを無視できなくなる。
以上、
なぜに土佐信道は、最近、ツイッターをやっているのか、についての長々しい言い訳でした。
(ケータイからべた打ち。文字校正なし。)
作成者アーカイブ: novmichi
皿回しの話 (DJじゃないよ)
今日は、アトリエの大掃除がなんとか終わりました。
あらためて思うのは、自分が作った機械の多さ。
明和電機をはじめて16年、たぶん200体ぐらいあるんじゃないか?
「まったく役にたたない機械」。
明和電機は、作品は売らず、そのマス展開やプロダクト展開で
商売をしていますから、オリジナルのマシーンはすべてアトリエにあるんです。
で。
なにが大変かというと、メンテナンス。
機械が増えれば増えるほど、その作業も増える。
これはまるで
「皿まわしの皿を、増やしていく」
ようなものです。
おそらく僕が死んだら、誰もメンテナンスはしないでしょう。
お皿は、回転を止めて、すべて床に落ちて、こっぱみじん。
それも運命。しかたがない。
生きているうちは、僕はナンセンスマシーンを作り続けるでしょう。
これは止まらない。
「アイデアが、枯れたりしませんか?」と聞かれるときがありますが、
「アイデアを実現する時間の方が足りない」と、答えています。
僕が3人いればなあ・・・・・はかどるのになあ・・・・
とよく思います。
風邪をひいてしまったようだ。
体の中心に、トコロテンがあるみたいに、ぼやんとする。
と、思ってたら、
パソコンも調子悪い。
アプリケーションがたちあがらない。重い。
ぐえー。
ただでさえ、思考のスピードが落ちてるのに、本来なら補助エンジンのはずのパソコンまで固まると、思考が重い重い。
で、ブログ、携帯で書いてます。
こいつは固まらない。
パソコンが普及して、情報をゲットするスピードは格段に上がった。
でも時々、今回の意味不明なフリーズのように、待たされる時間も増えた。
これって、高速道路でいくら飛ばしても、料金所の渋滞で追い付かれるのと似てる。
待たされる分、イライラする。差し引きゼロではないか。
電卓が固まることはない。同じ計算機なのに、パソコンが固まるのは、システムが合議性をとっていて、中途半端な民主主義だからであろう。
社会はそれでもいい。
しかし、マシンは、絶対君主が、ビスの一本まで息をかけて欲しい。
さてさて。
誰がそれを実現するか?
ハード屋か?
ケータイ屋か?
OS屋か?
検索屋か?
見物である。
楽しみ。
よく使う台所は、片付いている
今日もまた秋葉原へ。
「坂口電熱」という電熱器などを売っているお店にいった。
このお店は、店内が、整理整頓されていて、とても気持ちがいい。
棚がおしゃれだとか、ポップや看板のデザインがすぐれているとか、
そんなことではない(案内なんて、テプラをバシバシ貼ってるし)。
でも、なんだろーなー。
「電熱器」という、あんまり時代に流されない商品を売ってるからかな?
「よく使う台所」みたいに、気持ちよい風が流れてるんですね。
新陳代謝してるな、というか。
きちっと掃除してるというか。
最近あまりにも秋葉の風景が、メイドとアニメとミクに侵食されて、
「カワイイのはわかるけど、アナタたち、お風呂入ってる?」
という文化がまわりに増えたからかな?
面白いんだけどね。お風呂には入ってほしい!
だからかな?まるで洗いざらしのタオルのような「電気部品屋」にいくと、
すがすがしい気分になる。
さて、「坂口電熱」で、何を買ったかというと、サーモスタットです。
明和電機の楽器の基本は、「ノッカー」という電磁石を使った
打楽器デバイス。これが、動作するとガンガンに熱くなる。
200℃近くなってんじゃないかな?
なんでそうなるかというと、打楽器のパワーを出すために、
必要以上に電気を流しているからなんです。
(良い子はまねしないように)。
加熱しすぎると、最後は、銅のコイルが溶けておじゃん。
そうならないために、「あんまり熱いから、電気をきっちゃうよ!」
という装置、サーモスタットをつけるのです。
この装置、「電気こたつ」にもついてますね。
そんなノッカーたちが活躍する、久しぶりのライブをやります。
メンツは、明和電機と、ロマンポルシェ。さんと、サエキけんぞうさんです。
濃いなあ。
「信念をもって男を貫いたら、面白い人になってた」、という三人だなあ。
出発の時点から間違っていた三人だなあ。
さて、この三人が、明日の夜、渋谷近辺に集合します。 打ち合わせです。
で、「誰か、打ち合わせするのに、オレたちに部屋を貸してくれない?」
とツイッターでツイットしたとこを、4名の勇者が、ツイットリターンしてくれました。
たぶん、突入します。
にしても濃いなあ・・・・・・・
愛情のないツマミが多いのは、「デジタル楽器」と「和民」
秋葉原に部品を買いにいったついでに、ひさしぶりに楽器店にぶらり。
デジタル楽器コーナーにいったら、
もーね。新製品の「ツマミ」の量が、ますます増えてた。
理解できるか!!多すぎじゃ!!
まるで、テレビのリモコンと同じ。
どこを押せばいいの?
電子楽器の「つまみ」が多いのは、今にはじまったことではない。
40年前に作られた、ムーグシンセサイザーなんて、つまみのお化けだからね。
でも当時の楽器は、「その音を出すがいっぱいいっぱい」な、ダメっ子だった。
必死ですよ。「ぴょよよーーーん」って宇宙っぽい音出すのも。
「つまみ」をいじくる方も、なんだか、機械の内臓に触ってるような
リアリティがあった。
でも、デジタル技術がすすんで、どんな音でも出せるようになると、
電子楽器も余裕をかます優等生になっちゃって。
出せる音の選択至が増えたなら、「つまみ」も増やしてしまえと。
これはテレビのリモコンと同じ現象。
結果、楽器は、「音を楽しむ機器」ではなく、
プリセットされた音を選ぶだけの、「再生機(プレイヤー)」になっちゃった。
先が読めてしまうのに、ツマミだけは多い。
電子楽器を作っているエンジニアに言いたい。
「音、または音の編成のアルゴリズムからインターフェースを作るのが楽器ではない。
人間がインターフェースと葛藤することで音が生まれるのが、楽器である。」
88個もの「つまみ」がならんだ楽器「ピアノ」は、
人間が楽器と葛藤する場所を用意しているから、
こんなに普及しているのである。
ラーメンにおける 母性原理 と 父性原理
映画「タンポポ」を久しぶりにみた。
ラーメン作りがものすごく下手なラーメン屋の未亡人を、
アウトローな男5人がしごいて、行列ができるラーメン屋に仕上げる、という、
「しょうゆ味のマイフェアレディ」な映画だ。
おもしろい。筋がほんと、うまい。
しかーし!
このラストシーンで、宮本信子が到達するラーメン屋のイメージが、
実に「まずそうなラーメン屋」なのである。
その根本的な原因は、「母性原理が強すぎるのラーメン屋」
になってるからなのである。(上図)
まるで、「すてきな主婦の、すてきなキッチン」みたいな場所で、
清潔感あふれる宮本信子が、笑顔でラーメン作り。
「玄米ごはんと、豆腐ハンバーグ」ならいい。
そのシチュエーションなら。
でも、ラーメンはいかんだろう!!
ラーメンを食べる場所はやっぱり、
「鬼軍曹が見守る中、3分以内に、
バラバラのライフル銃の部品を組み立てること。
できなければ、独房」
みたいな、
「闘争本能と、マニアックなオタク心と、タイムリミットが混じった、
緊張感あふれる場所」
でなければ、いかんような気がする。
それは「父性原理」に基づく、「食べる人よりも作る人のエゴが勝る場所」
でなければならない。
だいたい、ラーメンって、ぜったい体によくない。
脂っこいし、炭水化物とたんぱく質と塩分ばっかりだし。
それをわかってて食べる。
それは、修行である。断食の反対。
今の世の中、父性原理が行き詰って、エコだ、ロハスだ、情報だ、感性だ、と
母性原理が強くなってきている。
そんな社会の中で、ラーメン屋は、男たちが闘争本能を消化できる、
「どんぶりサイズのコロシアム」なのだと思う。
だから、そこに 「おかあちゃんな宮本信子」がいては、いけないのである。
豊州で、こどもいじり
今日は豊州の芝浦工業大学で、こども向けの楽器ショーを
やってきました。
おもしろかったなあ。
ステージの上から
「パチモク、演奏したい人!」
てたずねたら、
みんな
「ぶあああああいい!!」
って手を勢いよく、かつ、なーんも考えずに手をみんな、あげてましたね。
「今日、二日酔いの人!!!」
ってたずねたときも、
「ぶあああああいい!!」
って返事してたしね。
聞いてる?人の話。
で、ステージにあがってもらった、勇敢な少年。
パチモク(NAKI-PX)を背負わせると、木魚が床についてしまってた。
子供って、小さいのね。当たり前だけど。
「パチモクの重さは、20キロぐらいあります」
って、会場に説明したら、
ぼそっと少年が
「ぼ、ぼく・・・・・28キロ・・・・」
と言ったのがおかしかった。
すまぬ。
君の体重に近い危険な楽器を背負わせて。
でもね、
さっきツイッターみたら、少年のお父さんが書き込みをしてました。
「ステージにあがって明和電機の「パチモク」を演奏したマイサンは、えらく気にっいったようで、サンタさんに「パチモク」をお願いするそうだ・・・」
少年の名前は、マイサンっていうんだ。
うん。
うん。
ぜひパチモクをサンタさんに、お願いしなね。
ぜったいだよ。
ちなみにパチモクの制作費は
120万円です。
爆音で麺のお湯を切る装置 「KILL YOU」
以前、ブログで「バーン!」とおもいっきり麺を切るラーメン屋の
話をしましたが、そこでひらめきました。
むかし、鉄砲のオモチャで、巻いた赤い火薬で、バーン!って鳴るやつ
ありましたよね? いまでもあるのかな?
あれを、麺を切る網に仕込む。
そうすると、弱い力でも、麺を切るときに「バーン!」って鳴るじゃないすか。
「バーン!」
「バーン!」
「バーン!」
もーね。
ラーメン屋ん中、マカロニウエスタンですよ。ラーメンなのに。
で、製品名は、男らしく 「KILL YOU (切る湯)」。
どでしょ!!
全国の、男気ビジュアル系ラーメン屋のみなさん!!
受注生産受けますよ!
(できるかどうか、わかりませんが)
小学校時代の実験テープ
今は明和電機で、実験的な音楽をどっぷりやってますが、
そのルーツってなんだっけ?と考えて、たどりついたのが、
小学校時代。
時代はカセットテープですよ。
このカセットテープのレコーダーを2台用意すると、ピンポン録音、
つまり多重録音ができる。これに兄ちゃんとはまった。
で、「ラジオ・コント」ようなものを作った。それが「トテキシリーズ」。
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◆トテキシリーズとは?
小学校の三年生のとき。うちの母親が僕に、
「のんちゅん(僕のあだ名)、2階からハサミをとってきて」
と言った。
ふざけて僕が、へらへらしてたら、だんだん母親が怒り始め、
最後に
「とてき!(赤穂弁でとってきなさい!)」
と高い声で叫んだ。
この「トテキ!」という奇声がとても面白く、
「このトテキ!という声がかならずオチになる、ラジオドラマを作ろう!」
と、当時小学校6年生の兄(ちなみに、まーくん)に相談。
「それなら、ピンポン録音やで」
と音関係のエンジニアリングに詳しい兄が答えた。すぐさま録音開始。
内容はくだらないコントのオチに、かならず僕が「トテキ!」と叫ぶという
ものだったが、10回目には「10回記念特別コーナー」ということで、
2001年宇宙の旅の「ツァラトゥストラはかく語りき」を流し、
お米を紙袋に流し込む音で拍手を作り、あたかもホールで収録している
かのような演出をした。
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とにかく、「音で遊ぶ」というのが楽しかったのである。
この感覚は明和電機やっている、今でもかわらないなあ。
で!
今週末の日曜日は、そんな大人になっても音で遊んでる僕の姿を、
子供に見せつけます。
場所は、マンションの開発で子供の人口が急上昇の「豊州」。
芝浦工業大学です。
「こんな大人がいてもいいんだ・・・」という気分にさせますよ。
子供をね。
いつだったかなあ、塾まみれになってるNHKの子役に、
「社長はいいなあ・・・、楽しそうだなあ・・・・」
とため息交じりに言われたことがある。
アホか!!こどもだったら 、遊べよ!!
ラーメンと男気
「なんでラーメン屋って、腕組みして、頭にタオル巻いて、ヒゲ生やして、暑っ苦しい男気をアピールするのだろう。作ってるのは、ダムでもビルでもなく、細い小麦粉汁なのに。」
と、書いたら、えらい反響があった。
たしか、僕が小さいころといえば、上の絵の左のおじさんみたいな人ばっかりだったのに。
いつのまにか「ガテン」なファッションに。
もー、こうなったら、女子の入る隙間がない。
映画「たんぽぽ」の宮本信子みたいなひとがラーメン作ってたら、
「まずくて食えねえ!」
なってしまう。
すごい時代になったもんだ。
みんな、命かけてるもんね。らーめんに。
とくにあの「ぱーん!」ね。
すごい「ぱーん!」する人がいる。
あんなぱーん、映画「ダヴィンチコード」の、自分の体にトゲのムチ打つ暗殺者ぐらいですよ、
最近見たの。
あれは、自分のカルマ落としてるね。ラーメンのパーンは。
男気が上がったほうが、おいしそうに見えるけど、
やりすぎると、お前の生き様をくってるんじゃない!
という気分になる。
胸に十字架はやめといた方がいいぞ。
で、結論は、ラーメンだから「MEN」。
この辺のくわしいラーメンファッションの変遷、詳しい人がいたら、
教えてください!