「歌はこころよりも技術?」 【ストレンジボイス/memo005】

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最近「歌と心の関係」について書いた原稿がボツになったんですが、もったいないのでブログに記載します!

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「歌はこころよりも技術?」

カラオケに行って歌を歌うのは楽しいものです。しかし最近は歌うと採点が出る機械がカラオケボックスにあったりして、「うまく歌わなきゃ・・」とプレッシャーがかかります。では「歌がうまい」とはなんでしょうか?「そんなの、こころがこもっているかどうかです!」という意見があります。ごもっともです。けれど、こころをこめて熱唱してるはずの上司の歌に、耳をふさぎたくなることもありませんか?いったい「こころ」と「歌のうまさ」の関係はどうなってるのでしょう?

◆人間の歌も「楽器」である
ではいったん「歌は“こころ”」という考えを置いといて、「歌は“楽器”」という視点で考えてみます。楽器にはかならずブルブルとふるえて「音」を作りだす発音体があります。ピアノだったら「弦」、サックスだったら「リード(弁)」です。「歌」の場合は喉にある「声帯」がそれです。声帯はちょうど薄い膜が二枚並んでいるような形をしています。そこに肺から送られた空気が通ると振動で「ビーッ」という音が生まれます。この音がのどを通って口の中にたどり着き、舌や歯や唇といった壁を通るときに、「ラ」とか「ザ」とか「パ」などの音に加工され、いろんな「音色」が作られます。また、楽器にとって大事なのが、ドレミファソラシド・・・と変化する「音程(ピッチ)」ですが、声帯はつながっている筋肉のひっぱりぐあいで音程(ピッチ)を変えます。これは指にはめた輪ゴムをはじきながら見っぱると、だんだん音が高くなるのと同じしくみです。

◆歌うしくみは音痴にできている
さて、ピアノやサックスは、「ここを押せばドの音が出る!」と決まっています。なのでだれが演奏しても、正しい音程が出ます。ところが、「歌」の場合、声帯の筋肉の“適当な”ひっぱりぐあいで音程が決まります。どこが「ド」かなんてぜんぜん決まっていないのです。つまり「歌」はしくみそのものが音痴なんです。「ああ、自分は音痴だ・・・」と悩んでいたみなさん、ご安心ください!それがナチュラルなのです! とはいえ、やっぱり世の中には歌がうまい人がいます。理由は耳がいいからです。自分が出した声を耳で聞いて、間違っていたら正しい音程に修正する脳が発達しているのです。これを「フィードバック」といいます。つまり「声を出すほう」に加えて「声を聞くほう」が発達しているのです。カラオケが一発でうまくなる方法で、「バケツをかぶる」というのがありますが、これは自分の出した声がよく耳で聞こえるようにフィードバックをバケツで作っているからです。

    

◆心がない歌に感動する?
さて明和電機は、こうした人間の歌うしくみをそのまま機械におきかえて、人間のように歌うロボット、「セーモンズ(SEAMOONS)」を作りました。「声帯>ゴム」、「筋肉>モーター」「耳>マイク」「脳>コンピューター」とすべて置き換えてあります。この「セーモンズ」がコンサートで「ア~ア~」と歌うと、お客様の中で感動して涙する方がいました。それを見て僕はあれ?と思いました。セーモンズは機械なので「こころ」がありません。けれどその歌に人間の「こころ」が感動しているのです。そこで僕はこう思いました。「人は歌のこころに感動するのではない。こころを表現する“技術”に感動するのだ」と。

考えてみれば、芸術家は、無機質な絵具や石や木を使って「まるでこころがあるような」絵や彫刻を作ります。それができるのは彼らがこころを表現する「技術」をもっているからです。歌は肉体そのものから発するものなので、なんとなく感情に近いものに思えますが、絵画や彫刻と同じような“客体物”として見るならば、感動を作るには、やはりこころとは切り離して作り上げる技術が重要になります。歌うロボットを作る面白さはその「こころ」と「技術」の境目を見ることができることです。

とはいえ、カラオケで熱唱してる上司に、「部長、カラオケはこころじゃないですよ、技術ですよ!」と言ってはいけませんよ。それは上司のこころを逆なでしますからね!

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この内容、実は以前にブログで書きました。ご興味のある方はどうぞ!

オタマトーンの声の出るしくみ

歌と感情と機械

声の呪術性と機能性について


なぜ歌う機械を作るのか

【ストレンジボイス/memo 000】   ストレンジボイス イベントの概要
【ストレンジボイス/memo 001 音楽情報処理研究ってなに?
【ストレンジボイス/memo 002】   ストレンジボイスとCGM

【ストレンジボイス/memo 003】 AFRAさんがアトリエにやってきた!

【ストレンジボイス/memo 004】 まぼろしの歌をエジソンに歌わせてみた

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まぼろしの歌をエジソンに歌わせてみた  【ストレンジボイス/memo004】

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「世界最初に録音された歌は?」と聞かれれば、そりゃあエジソンの「メリーさんの羊」でしょう!と答えます。

「じゃあどんな歌声でした?」と聞かれれば・・・・あれ?・・たしか昔、どこかの科学館で聞いたことがあるような・・とかなり記憶があやしくなる。そこでネットでいろいろ調べると、1877年に吹き込まれた歌声は残ってないようです。僕の勘違い。歌った記録が残ってるだけなんですね。

なーんだ、残念と思ってたんですが、よくよく調べると歌は残ってないけれど、「メリーさんの羊の朗読」は残っていたようです。

エジソンの朗読の音声データ

これは面白い!と思ったんですが、僕の英語力ではぜんぶ聴き取れない。そこでツイッターで「誰か聴きとれますか?」とお願いしたところ、数人の方が聴きとってくれました。ありがとうございます!それによると、

The first words I spoke in the original phonograph.  A little piece of
practical poetry.
Mary had a little lamb.  Its fleece was white as
snow.  And everywhere that Mary went, the lamb was sure to go.

だそうです。詩の部分はマザーグースだったんですね。
この詩を見ると、歌の「メリーさんの羊」と歌詞は違いますが、

Mary had a little lamb.  Its fleece was white as
snow.

の部分はまったく一緒。そこでヒラめきました。

「この朗読をいじくれば、エジソンにまぼろしの”メリーさんの羊”を歌わせることができるんじゃない?」

そこでご愛用のフリーの波形編集ソフト「Audacity」をいじくって、無理やり歌わせてみました。

エジソンの歌う「メリーさんの羊」のデータ

・・・かなり無理やりです。なんか後半HIPHOPみたいになってるし。世間には音程補正ソフトとかたくさんあるから、おひまな方はぜひもっと上手に歌わせてみてください!

にしてもこの作業で2時間もかかってしまいました。近い将来はもっと簡単に会話のデータから歌声を合成できるようになるはずです。音楽情報処理研究の後藤先生も言ってましたし!そうなれば、いろんな偉人さんに歌を歌わせることができるので、けっこう楽しいでしょうねー。

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【ストレンジボイス/memo 003】 AFRAさんがアトリエにやってきた!

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「明和電機ライブツアー2011 ボイスメカニクス」 詳細決定!!



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おまたせいたしました!明和電機7年ぶりのライブツアー、詳細が決定しましたのでご報告いたします!

東京、大阪、岡山(津山)、島根、高知、福岡、でございます。

(東北方面は現在、検討中です!)

今回のテーマは「声」。これまで開発してまいりました「声系・ナンセンスマシーン」に新たな新製品を加え、往年の明和電機の名曲から近年の珍曲までを演奏する、感電&感動のメカニカルショーでございます。

なつかしのアナタも、未だかつて明和電機を見たことがないアナタも、一度見といた方がいいです。奇妙ですよ~。

■東京

・とき:10月16日(日)   開場13:30  /  開演14:00

・会場:品川よしもとプリンスシアター 
(東京都港区高輪4-10-30 品川プリンスホテル アネックスタワー3Fクラブ) http://www.yoshimoto.co.jp/ypt/

・チケット料金(全席指定):前売り¥3500 当日¥4,000
   ※8月15日(月)チケット一般発売開始(明和電機共同組合の先行発売あり)
・チケット取り扱い
    ・チケットよしもと/ 0570-041-489(自動応答システム)
               0570-041-356(受付時間10:00~18:00)
    ・チケットぴあ /   0570-02-9999  Pコード:597-791
    ・ローソンチケット/ 0570-084-003 Lコード:32064
                0570-000-407(オペレータ対応) 
    ・CNプレイガイド / 0570-08-9999
 ◎問合せ先:チケットよしもと: TEL 0570-036-912(受付時間 10:00~19:00)
                     ※チケットのご予約は承れません

■大阪

・とき:10月19日(水)  開場18:30 / 開演19:00

・会場:5upよしもと (大阪市中央区難波千日前12-7 YES・NAMBAビル5F)
 http://www.yoshimoto.co.jp/5up/

・チケット料金(全席指定): 前売り¥3500 当日¥4,000
      ※8月15日(月)チケット一般発売開始(明和電機共同組合の先行発売あり)
・チケット取り扱い:近日発表予定

■高知

・とき:10月20日(木)  開場18:30 / 開演19:00

・会場:高新RKCホール  (高知新聞放送会館6F
http://www.kochi-sk.co.jp/event/

・チケット料金(全席自由/先行発売分のみ予約席):
    前売り¥3500 当日¥4,000
※8月26日(金)チケット一般発売開始(明和電機共同組合、高知新聞の先行発売あり)
・チケット取り扱い
・ 高新プレイガイド 088-825-4335
・ 県立美術館ミュージアムショップ 088-866-8118
・ 高知市文化プラザミュージアムショップ 088-883-5052
・ デュークショップ 088-825-2505
・問合せ先:高知新聞企業 事業企画部

■島根

・とき:10月23日(日)  開場13:30  /  開演14:00

・会場:雲南市加茂文化ホール ラメール (島根県雲南市加茂町宇治303)
    http://www.lamer-unnan.com

・チケット料金(全席指定)  
1階席:一般3,000円 高校生以下1,500円
2階席:一般2,500円
※託児あり(無料/要予約)
※ 高校生は公演当日生徒手帳をお持ちください。
※8月6日(土)チケット一般発売開始(明和電機共同組合、メール会員の先行発売あり)
◎チケット取り扱い
  ・イープラス (PC/携帯) http://eplus.jp  (直接購入)ファミリーマート
  ・雲南: ラメール  (0854)49-8500、 
チェリヴァホール (0854)42-1155
松江: 文化情報コーナー (0852)22-5556、
プラバホール  (0852)27-6000、
タカキ楽器店  (0852)21-4509、
今井書店グループセンター店STUDIO WONDER   (0852)20-8686
出雲: 出雲市民会館(0853)24-1212
アツタ楽器(0853)22-7322
◎問合せ先: 雲南市加茂文化ホール ラメール  TEL 0854-49-8500

■福岡

・とき:10月24日(月)  開場18:30 / 開演19:00

・会場:イムズホール
     (福岡市中央区天神1-7-11イムズ9F)

◎チケット料金(全席指定):前売り¥3500
   ※8月15日(月)チケット一般発売開始(明和電機共同組合の先行発売あり)
◎チケット取り扱い:
   ・チケットぴあ 0570-02-9999 /Pコード:145- 503 
・ローソンチケット 0570-084-008 Lコード:89929               
             0570-000-407(オペレータ対応)
◎問合せ先:

■津山

・とき:11月5日(土)開場18:30 / 開演19:00
     11月6日(日)開場13:30 / 開演14:00

・会場:グリーンヒルズ津山
       (岡山県津山市大田920)

・チケット料金(全席自由
   一般:   前売¥3,000 当日¥3,500
   学生(中・高校生): 前売¥2,000 当日¥2,500
  小学生:  前売¥1,000 当日¥1,500
  ※ 学生は公演当日学生証をお持ちください。
  ※8月15日(月)チケット一般発売開始(明和電機共同組合の先行発売あり)
・チケット取り扱い
吉田楽器 (0868)23-4000
平和堂楽器店 (0868)23-5266
ピアノ工房アムズ (0868)27-2100
着物の店ちんがらや (0868)22-2427
ベルフォーレ津山 (0868)31-2525
津山市勝北文化センター (0868)36-7121
津山市加茂町文化センター (0868)42-7031
津山文化センター (0868)22-7111
久世エスパスセンター (0867)42-7000
美作ブックセンター (0868)72-6110
◎問い合わせ先:

































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AFRAさんがアトリエにきた! 【ストレンジボイス/memo003】

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ヒューマンビートボクサーのAFRAさんが、先日明和電機のアトリエに打合せでいらっしゃった。YOUTUBE動画ではさんざん見まくったビートボックスであったが、生まれて初めてプロの方の音を生で聞いた。

・・・・びっくりした。

なににビックリしたかというと、まずその音色。めちゃくちゃきれいな音なのである。1メートルくらいの至近距離で聞かせてもらったのだが、例えばドラムのハイハットの音など、「え?人間が出してるの?GM音源じゃなくて?」っていうくらい澄んだ音なのである。とにかくひとつひとつの音のキャラクターがしっかりしてる。まずそれにビックリした。

次にビックリしたのがリズムキープ。これまた、もたりも、走りもしない。すごく正確なのである。プロだから当たり前なのでしょうが、楽器として、またプレイヤーとして、なんと安心の演奏。

それがマイク一本できるわけですからねー。ほんと明和電機の電動ドラムマシンの物量に比べると、なんと地球にやさしいことか。

「華氏451」という映画で、本を読むことを禁止された未来社会で、本の内容をすべて暗記した人々が住む村のシーンがあったけど・・・なんかあの風景を思い出しました。



さて、打合せのあと、AFRAさんに無理やり頼んで、オタマトーンジャンボと一緒にセッション(?)をしてもらった。もー、やりたくてしかたなかったんです!だっておもしろそうじゃないですか!

で、上の動画。練習なしで、いきなり合わせていただいたんですが・・・・・ここでもやっぱりビックリ。僕のデタラメな演奏に、見事にあわしてくれる。なんじゃあ!この安心感は!「アニキ、大船に乗ったつもりで、こっちは自由にやらしてもらいヤス!」って感じです。これまで、さまざななミュージシャンとコラボレーションをしてこられた経験のすごさ。

おもしろかったなあ・・・・。

AFRAさんはとてもノリがよく、「ストレンジボイス」の当日も、かなりアドリブでいろんな演奏に絡んでくれるそうです。僕もそういう「現場対応」が大好きなので、一緒に遊ばさせいただきます!

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【ストレンジボイス/memo002】 ストレンジボイスとCGM

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みなさんはCGMってご存じ?「コンシューマー ジェネレイティッド メディア<Consumer Generated Media>」の略で、日本語で言うと、「消費者生成メディア」。これまでの大企業がPR力や流通力を使って消費者を上から目線で巻きこんでいったメディアではなく、消費者側が自発的(または無自覚な外部からの自発的コントロール)によって作られるメディアです。

とにかくインターネットにおけるブログやSNSなどの登場で、「口コミ」という情報の伝達がこの新しいメディアを加速させました。

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インターネット以前だと、たとえば僕が小学校のころにはやった「改造ガンプラ」なんかも、ちょっとした「消費者生成メディア CGM」でした。最初は趣味のみなさんの間で盛り上がっていって、その後、ホビージャパンという”雑誌メディア”がそれを取り上げさらにブーム。僕も作りましたよー、改造オリジナルGM。あまりにうれしくて枕元に置いて寝ましたね。もしあのときブログがあったら、「ボクはこんな改造をした!」って写真を載せて、オリジナルストーリーなんか考えちゃったりしてたかも。

ただ、ガンプラは工業生産品で個人では大量生産が無理。そこへバンダイさんが登場して改造ガンダムをほんとうに量産するようになって、CGMではなく、現在のガンプラ王国ができあがっていきました。

現在のCGMでは、工業製品ではなく「情報製品」を主とし、コンピューターという強力な「通信機&加工機&複製機」によって、個人が新しい情報を生みだし、量産し、流布させるようになっています。料理ブログやファッションブログ、さまざまな投稿サイトなど、大企業がなかなかコントロールしにくいフィールドで盛り上がっています。

さて、「ストレンジボイス」という現象を見るとき、このCGMのことはかかせません。そもそも僕が「ストレンジボイス」を思いついたのも、

1 初音ミクがニコ動で盛り上がっている
2 ヒューマンビートボックスがYOUTUBEで盛り上がってる
3 オタマトーンの演奏映像がYOUTUBEで盛り上がってる

というのをおもしろいなー!と見ていたからです。こうした動画投稿サイトによって盛り上がるCGMがなければ、これらのストレンジボイスを聞くことはなかったでしょう。

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なので、自分でも注意して分けて考えなければならないなー、と思ったのは

①声の楽器へのメカニックな興味という「演奏者側の視点」
②CGMという「鑑賞者側の視点」

がストレンジボイスというテーマには共存しているということ。これは切っても切れない関係だけど、論点としてまったく違う。僕は発想の出発の時点では「①」の視点しかなかったけれど、取材を重ねると、②の問題の重要性を痛感。

後藤先生に音楽情報処理のお話をお聞きしたとき、「これからは音楽を聞くリスナー側が、情報技術によって、能動的に音楽を鑑賞するようになるでしょう」 とおっしゃってました。そういう潮流のクロスポイントとして、「声(ボイス)」というのは、カルチャー的にも技術的にも面白い場所なのでしょう。


【ストレンジボイス/memo 000】   ストレンジボイス イベントの概要
【ストレンジボイス/memo 001 音楽情報処理研究ってなに?



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【ストレンジボイス/memo001】 音楽情報処理ってなに?

ストレンジボイスの開催にあたり、先週は出演されるみなさんに実際にお会いしてお話をうかがいました。アイドルのNUTNの皆さん、ヒューマンビートボックスのAFRAさん、音楽情報処理の後藤真孝先生、YAMAHAのVOCALOID関連のみなさん・・・・。どのみなさんもお話が面白くて好奇心爆発なんですが、一方で、あまりにちがうジャンルの方々なので、頭がごちゃごちゃに。そこで 【ストレンジボイス/memo】 という形で、とりあえず、思ったことをブログに書いていきます。整理できてない内容だけどごめんなさい!

さて、今回は「音楽情報処理研究」についてメモ。

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先週、音楽情報処理で最先端の研究をされている後藤真孝先生のお話をうかがいにつくばの産業技術総合研究所(=産総研)に行ってきました。

そもそも「音楽情報処理研究ってなに?」とみなさん疑問なのでは?わっかりやすく言ってしまえば「デジタル技術とコンピュータの進歩で、音楽はどう発展するの?知りたくない?知りたいよね?そのための研究」です。

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現在はコンピューターやケータイであたりまえにデジタル音楽を聴く時代ですが、僕が小さい頃はすべてアナログ。音楽はレコードで聴いていて、小さなタンスぐらいあるステレオとスピーカーで聴いてました。とにかくレコードは、ありがたいものであり、その大きなジャケット、びっしり書かれたライナーノーツも含めて、「不可侵(おかすべからず)」なメディアでした。もーひれ伏してました。

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ところがそれがデジタル音楽になってくると小型化し、パーソナル化し、「シャッフル」という機能が登場して、アルバムの曲順はバラバラになりました。そしてウェブ経由で、コード屋さんにいかなくても、大量の楽曲を手に入れて持ち運べるようになりました。

さてさてこの先には、デジタル化された音楽はそんな「量的な変化」だけでななく、、内容そのものをいじくれる「質的な変化」の時代に突入するようです。極端な話を言えば、「好きなミュージシャンの歌声を、まったく別の人に入れ替える」とか、「バックの楽器の音やフレーズを、好きなものに変える」とか、みなさんのケータイ端末で、簡単にできるようになるのです。

アナログ音楽の時代には「不可侵」だった音楽のソースが、デジタルになってからは好きなようにカスタマイズできるようになる・・・。音楽の聴き方も、演奏も、そしてマーケットのあり方も変わっていく・・・。

そうした技術革新の研究を後藤先生はされているわけです。
ご興味のある方は先生のHPへ >こちら!

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さて、そうした内容を、後藤先生にお会いする前の緊張感の中でいろいろ予習したとき、僕は先生の研究が、

「音楽を演奏する」・・・プレイヤーサイド、
「音楽を聴く」・・・・・・・リスナーサイド

の二つのジャンルに分かれると思ったんですね。そこで上図のようなスケッチを描いて、お会いしたときにお見せしました。

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すると後藤先生は、

「う~ん、音楽情報処理の研究者の立場からいうと、図の中心は人間ではなくて、コンピューターですね。コンピューターが、いかに人間のように音楽を聴くか、そして演奏するか、の研究なんです」

と、おっしゃられた(上図)。それを聞いて、「なるほど!これが音楽情報処理か!」とすごく納得しました。僕は芸術というジャンルで表現活動をしているので、ド中心にいつも「人間」をドカンと据えてしまうんですが、研究者というのは違うんだ!と目からウロコでした。

この中心にいるコンピューター君が、いまやすばらしい発展をしていて、これまでは複雑すぎて分析が不可能だった音楽の中の「声(VOICE)」という分野も扱えるようになってきた。僕らの身近なところでは、カラオケで歌うと採点が出たり、ケータイでフレーズを歌うだけで知りたい音楽が検索できたり、初音ミクのように人工音声の歌手が出てきたり・・・。

いやあ、おもしろい!技術は明確に未来を見せてくれるから、いいですね。


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なんで槍を投げなあかんねん。

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いやあ、暑くなってきましたね!夜もなかなか寝苦しくなってきました。
僕はクーラーが苦手なので、寝るときは扇風機を回して寝ます。昨日は「夜は室温よりも外気の方がすずしいじゃない?」と思いまして、いつもは頭サイドにある扇風機を足元サイドに移動し、サッシをうっすらとあけ、扇風機で外からの風を送りながら寝ました。

これがいけなかったんでしょうか。変な夢を見ました。

僕はなぜか「芸能界大運動会」に参加してるんですね。で、応援席には体育着を着たアイドルたちがずら~り。なんのグループかはわからない。NUTでもAKBでもなかった。みたことないこたち。

で、そのこらが「社長~槍を投げて~!」って言うんです。ええ?と思ったけど、よく見たら僕はすでにフィールドに立ってる。つまり、ステージのど真ん中。まあ、こうなったら「末っ子体質」のスイッチオンですわ。やるときはやる!っていう根性ですわ。

ここはウケをとらなあかん!と思いまして、まずは槍を投げるふりをして、いきなりバトンみたいにくるくる回して見ました。槍って長いからなかなか回せないんですが、カンフー映画の棒術を思い出しながら、ぐるんぐるん回しました。

たぶん、そこそこウケてたとおもう。そのこらに。

で、頃合いを見て、いきなり全速力で助走。やり投げ選手みたいに猛スピードで助走。で、さあ、投げますよお!というところでいきなり立ち止まって、槍を地面に思いっきりたたきつけ、

「なんで、僕が槍をなげなあかんねええええん!」

と絶叫しました。とそこへなぜか司会の伊東四朗さんが近づいてきた。持ってるマイクを差し出して「なんですか?それは?」と質問。なのでいうたった。

「なげやりな、槍投げです!」

くるかな?くるかな?首を30度に傾けて、例の調子でつっこんでくるかな?と伊東氏を見ると、すんごく眉間にシワ。え?じゃあ、そのこらにはウケてるのかな?と振り返ったら、そのこら、全員消えてた。

・・・何でしょう、この夢は。扇風機に当たりすぎて、寒かったから、寒い夢を見たのでしょうか。
寝ざめはややさみしく、しかたがないのでカルピスを炭酸で割って一気飲みしました。

みなさんも、扇風機の向きには気をつけてください。

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ストレンジボイス~奇妙な声の実験室~

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さて、もうすぐ夏休みですが、7月にちょっと実験的なイベントをやります。タイトルは「ストレンジボイス ~奇妙な声の実験室~」です。どんな内容かといいますと、まずは案内文をどうぞ。

キャラクター性をもった新しい「声」のデジタル楽器「初音ミク」が日本だけではなく海外で大ヒットしています。その対局として、マシンの音を人間の肉体的な「声」で再現する「ヒューマンビートボックス」もHIPHOPシーンをにぎわしています。また、ロボット技術の応用し、機械的に声を再現する「ボイスメカニクス」の研究も進んでいます。そして生の歌声を聴くためにミュージシャンのライブステージに向かう観客の数も増えています。

それらの背景には、無味乾燥なテクノロジーが進むほど、もっとも原始的な楽器である「声」のもつ呪術的な魅力、楽器としてのしくみの面白さへの、人々の注目があるからだと思います。このイベントでは、そうした新しい「声」のパフォーマーたちが集まり、まったく異なるジャンルから「声」をテーマにしたステージを披露します。


・・・伝わったでしょうか?

「ストレンジボイス」とは、日本語に訳すと「ヘンな声」です。もっと短く言うと「ヘンゴエ」。現在、音楽業界やテクノロジーの分野でいろんな「ヘンゴエ」がボンボンと登場してきてる。それを一気に見てみよう!というイベントです。

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そもそもこのイベントをやろうと思ったきっかけについて書きます。

僕自身、7年前から”歌うロボット”を作り、その応用で歌うオモチャ「オタマトーン」をCUBEさんと発売して大ヒットしました。一連のこの製品たちを僕は「ボイスメカニクス」、つまり「機械の声」と呼んでました。僕がなぜ「声」に興味を持ったかというと、大きく以下の2点です。

① 機能性・・・「声」という肉の楽器のもつ、しくみ・機能的なおもしろさ

② 呪術性・・・人間の心をしばる、声という音の不思議さ

これにどっぷりはまってたんです。

で、YOUTUBEやニコ動を見ると、僕のハマり方と似てるけどまったく違うジャンルが同時期に盛り上がってきた。それがYAMAHAさんの作った「VOCALOID」のデジタル技術をベースに登場した「初音ミク」だったんです。みなさんもご存じのように、現在「初音ミク」はどえらい盛り上がってます。僕も発売されて即効買って「秋葉原☆キラリ」のコーラスで使ったんですが、これが面白い。(マニアックにいうと、高校生のとき、YAMAHAのミュージックコンポーザーを触ったとき以来の面白さ)。

「なんで面白いんだろう・・・」と考えると、やっぱり「機能性(しくみ)」と「呪術性」なんですね。心がないとわかっていても歌声に感情移入してしまう。しかしその操作そのものは、「打ち込み」というプログラムの機能性から生まれる。

と思っていたら、こんどは「声」を使ったすんごい面白い音楽がHIPHOPから盛り上がってきた。それが「ヒューマンビートボックス」です。

これは「初音ミク」や「ボイスメカニクス」とはまったく逆で、人間がいかに機械のような音を出すか?というジャンル。人間の声のしくみは太古からまったく変わってないのに、HIPHOPというカルチャーを通過したとたん、あり得ない音を人間が口から出し始めた、というのがめっちゃ面白い!(興味のある方はYOUTUBEを検索。超絶すごい動画がたくさんあります)。

ヒューマンビートボックスも、やっぱり人間の声が発する、泥臭くて、呪術的な魅力と、徹底した鍛錬で肉体を制御し、音を作っていくという、機械のよう機能性の魅力がある。

こうした「声」に関する新しい試みが、異なるジャンルで同時多発的に出てきた。これはいったいなんなんだ?いちど全部俯瞰して見てみたいぞ!

・・・・という好奇心で、このイベントを企画しました。そして集まっていただいたみなさんは以下の通りです!

 

明和電機・・・・ボイスメカニクス・パフォーマンス

AFRA・・・・ヒューマンビートボックス

VOCALOID(ヤマハ株式会社)・・・歌声合成技術の商品化

後藤真孝・・・・音楽情報処理研究  産業技術総合研究所 研究グループ長

フォルマント兄弟・・・・歌声合成ユニット

NUT・・・・アイドルボイス・パフォーマンス

なんというバラエティ。まったくことなるジャンルのみなさんが「声」をテーマに集結です。
ご興味がある方は、ぜひぜひご来場ください!

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strenge_voice_.pdfをダウンロード



 

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「ストレンジ・ボイス ~奇妙な声の実験室~」

 ◎とき:2011726日(火)
開場1900・開演1930 

◎場所:品川よしもとプリンスシアター

◎出演者

明和電機、AFRA、VOCALOID(ヤマハ株式会社)、後藤真孝(産業技術総合研究所 研究グループ長)、フォルマント兄弟、NUT

◎入場料金:前売り¥3,000(全席指定)/当日¥3,500(全席指定)


  • ◎チケット情報

    ★6月23日(木)前売りチケット発売開始(電協組合の先行発売あり)

    • ・チケットよしもと/0570-041-489(自動応答システム)
    • ・コールセンター/0570-041-356(受付時間10:00〜18:00)
    • ・チケットぴあ/0570-02-9999  Pコード:597−791
    • ・ローソン/0570-084-003  Lコード:38605
    • ・CNプレイガイド/0570-08-9999
  • ◎公演に関する情報・お問合わせ

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アトリエ、 大型倉庫棚を制作中。

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いやあ今日は暑かった!これからくるのね、この季節が。節電がんばりましょう。

さて、クーラーなんか最初からない明和電機のアトリエ。現在はなんの作業をしてるかというと、「倉庫棚」づくりです。棚っていっても、無印良品で売ってるような棚じゃないですよ。三階建、鋼材でできた、巨大な棚です。

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上の写真が明和電機のアトリエです。この空間の奥が倉庫になってるんですが・・・・

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わかりますかね。この単管で組んだのが、これまで使っていた倉庫棚です。丈夫は丈夫なんですが、いかんせん震災があったので、はたして大丈夫なのか?という心配もある。そしてなんといっても、がつんと増えた明和電機の製品たちを収納するのには、なんといても手狭。現在、明和電機の製品のほとんどがフランス展で出張中なので、このタイミングでえいや!と収納スペースを拡大してしまえ!という作戦です。

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で、これが現在制作中の倉庫棚の模型。65mm×65mm、厚さ6mmL字鉄鋼材をがっつり組み合わせた構造。

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で、本日は届いた鋼材のひたすら切断。・・・・これがね、重いんです。鋼材の長さは5.5mあるんですが、とてもじゃないけど、一人じゃ持てない。これを二人がかりで高速カッターでひたすら切断。今日は真夏日だったので、工員さんも汗だくです。しかも重いので「腰がいたいっす・・・・社長・・・」と涙目でした。がんばれ!!

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切り出した鋼材。短くても重い。とにかく重い。普段は明和電機、アルミニウムしか使ってないからビビりますね、この重量。

JRの駅とか線路の上には、見事な鉄でできたトラス構造(三角形を利用した丈夫な構造)の架線塔があったりしますが、いかにあれが重いかがわかりました。うすっ!

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トラス構造といえば、「月刊トラスライフ」。全国のトラス構造好きなマニアが愛読している雑誌で、僕も定期購読しています・・・・・って嘘です。

ツイッターで さんが撮影した鉄塔があまりにかっこいいので、適当に表紙を作ってみただけです。アマゾンで検索しても、ヒットしませんよ~

さて、明日は穴あけ作業だ。がんばろー!


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いきなり寒くなって雨。僕は雨男。<ベテューヌ三日目>

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朝起きたら、しとしとと雨。ぎょええ、寒い!昨日までの夏日はなんだったの?あわてて現地のしまむらみたいな店で、Tシャツを2枚も買ったのに、着れないじゃん!

といいいますか、白状しますと、雨を降らしたのは僕です。僕はすさまじい雨男なんです。先週のチューリッヒも、着いた日は真夏日だったのに、次の日か雨。さむーい雨。ああ、かつて、なんど海外ライブの本番に雨を降らしたことか。

思い返せば2003年くらいのフランスライブだったかあ・・・。「夏だからフランスは、ぜったい雨は降らない。100%降らない。だから野外ライブ、やってシルブプレ」と現地のスタッフが言うから、屋根のないステージでライブやったら、思いっきりエンディングで雨が降ってきて、100ボルトがずぶぬれで感電しそうになったし。

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さて、屋根のある会場では今日もたんたんと楽器組み立て。数がありますからねー。今回は明和電機スタッフ6名でやってきました。みなさん手分けしてひたすら組み立て。

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会場にはテオ・ヤンセンの作品も到着。うーん!やっぱりすごい!ご存じない方のためにご説明しますと、この装置、歩くんです。生物みたいにぐにゅぐにゅ歩くんです。でも電気はまったく使いません。なのに神経系があって、方向転換したりするんです。全部空気制御。そしてボディは、ぜんぶ塩ビパイプの加工。

動いてる画像はこちら。

近くで見ると、クランク部分の加工とか、おもわずうなってしまう。もーね、職人の世界ですよ。なんか日本の竹職人を思い出す。近くであきるまで細部が見れるので、ちょっとぜいたくな気分です。うふふ。

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